そういう層もいる
「生き残った選手の数が二十人以下か。難しいんじゃないのか? もし、本当に二十人を下回る事になれば、途中で敗退した選手達にも突破のチャンスが巡って来るかもしれないわけだ」
「もしそうなったら、途中で敗退した選手はとにかく一人でも多くの脱落者が出るのを祈るだろうな。もっとも、その祈りが届く可能性は低いが」
「二十人を下回る事は無いという事か?」
「ああ。まずありえないな。この競技は他の選手との結託が黙認されている。わざわざ二十人よりも人数を減らすメリットが無いわけだ」
確かにより高得点を取る事が出来れば明確に優勝に近づくというのであれば、どんどん数を減らして行く事にも違和感は無い。しかし、ある程度以上の順位は求めていないという選手とかち合えばむしろ不必要な戦いをすることを避ける傾向にあるはずだ。
「確かに危ない橋を渡ってまで数を減らそうとする者は少ないだろうな。そんな事をするよりも、生き残ったグループ同士で潰し合わないように協力体制に入った方が厄介だろうな」
「その方が付け入る隙が無いからより確実に勝ち上がれるわけだ。それを理解した上であえてライバルグループを倒す事に拘って最終的な生存者が二十人を下回る事もありえるわけだけどな」
まあ、順当に行けば勝てるって状況で協力し合う事をわざわざ拒否するって事だからな。よほど仲の悪い連中同士でなければ普通はやらない選択肢だ。
「まあ、こういう場でライバルを倒そうと躍起になる奴らはいるだろうな」
「やはり、そういう層もいるのか」
「ああ。この大会の参加選手には元祖だとか本家だとかでお互いがオリジナルを名乗るという状況があり得るからな。単純な順位では無く、早急に倒して格の違いを見せつける必要があったりもするわけだな」
なるほどな。仲良くする事は勿論の事、そいつと互角という結果さえ認められない連中も中にはいるって事か。




