いない可能性
「少なくとも……空間魔法の干渉が無いって事は、その方法で俺達の存在や位置は特定されていないと考えて良いんだよな?」
「ああ。その方法なら間違いなく私が認識出来る」
「お前がいるのを理解しているから下手な行動を取らない……って事は無いよな? お前がいるのを知っているならむしろすぐに使って位置を把握した方がメリットが多いハズだ。それに近寄られたら致命的になるんだからな」
オリヴィエが警戒されているなら、その射程距離もちゃんと警戒されているハズだ。半径50メートル以内に近寄られた場合の方が敗退の危険性が増す以上は距離を保つために位置は常に特定しておきたいハズだし、それに警戒しているなら安全な距離だって把握しているハズだしな。
「確かにメリットは多いだろうな。そもそも私は今回の競技においては高得点が狙える特別枠だ。私に見つかるリスクと私を見つけるチャンスを比べれば、もっと積極的に探しても良いハズだ」
「高得点を狙えるってだけじゃない。接近戦が得意なお前に不用意に近寄るなんて真似はしたくないだろうからな。警戒しているなら当然安全な距離だって把握しているハズだ。十分な距離を保てているなら、遠距離攻撃を仕掛ける事だって出来る」
「確かに索敵しない理由が無いな。強いて言うなら、索敵した瞬間に他の選手達にも存在がバレて集中攻撃を受ける可能性があるからとも言える。もっとも、それを嫌うならそもそも索敵の範囲を狭くすれば良いだけの話ではあるがな」
「距離を絞った結果、偶然見つかっていないだけって事か? しかし、それだと山の頂上を索敵しないのが意味不明になるか。つまり、もっと別の方法で周囲を索敵しているか、もしくはこの近くに空間魔法を扱える選手が本当にこの辺りにはいないという可能性だな」
まあ、どちらもありえるだろうな。別に誰でも使えるってレベルの魔法では無いハズだしな。




