転送魔法の限界距離
「相手の座標がわかってもその周辺の地理関係が把握出来ないのか……地の利が得られないのは致命的じゃないか?」
「そのため周囲の地形を認識出来るように魔法を調整したりする。それか、周囲の地形を完全に記憶して座標と当てはめるとかだな」
地形の丸暗記か。確かにその方法なら不必要な事に魔力を割く必要が無くなるな。
「周囲の地形の把握を魔法で行うか記憶で行うかってわけか。確かに記憶でどうにかできるならそれに越したことはないな」
「まあ、記憶でどうにかするという事が出来るのであればな。そういう意味ではぎりぎりの直前まで競技を行う場所を秘匿するというのは理に適っているな」
「事前に下調べする事が出来ないという意味ではかなり効果的だろうな」
「その一方で、ここへ来た事がある者にとってはかなり戦いやすい場所とも言える。国立の自然公園だからな……地元の人間なら幾度となく訪れていてもおかしくは無いな」
なるほど、確かにこの土地は普段平日は普通に民間人が行き来する場所だ。一度でも訪れた事のある者なら、無い者より有利に立ち回れるだろう。
「……毎年火霊祭が同じ場所で開催されているとしたら、各競技が行われる場所というのもある程度予想がつくだろうな。あまり離れた場所にはならないハズだからな」
「それはそうだが……転送魔法を使えば多少の距離はあって無いに等しいものだぞ」
「言いたい事はわかるが、あまりにも遠くの場所って事にはならないだろう。極端な事を言えば、国外で競技をやるって事は無いハズだ」
「それは……無理だろうな。わざわざ外国の土地を宣伝するという、興行的な意味でも他国でやる価値が薄そうな事をやるとは思えん。それに、転送魔法で別の国へ移動というのも法的にリスクが大きすぎる。国内のどこかと考えるのが自然だろうな」




