これで終わる可能性
「今ので数はどれだけ減ったんだ……? まさか俺達の出番はほぼ必要無しって事にはならないよな……?」
とりあえず気になるのは今の生き残りの数だ。まさか今ので残り百人まで絞り込まれたなんて事にはならないとは思うが。
「とりあえず放送が無いから各グループで半数以下になったところは無いハズだ。……もっとも、集計が追い付いていないという可能性もあるが」
「そうであって欲しいな。防空壕じゃあるまいし、洞穴の中で隠れていたら競技終了ですじゃせっかくここまで来た甲斐が無いからな」
しかし、索敵と遠距離攻撃を同時に使いこなす選手がいるとすると、これからどう動けば良いか見当も付かんな。……と、言うより俺達の位置は現時点で特定されているのかどうか? それすらもわからないんじゃ洞窟から出るのもギャンブルだ。下手すりゃ出た瞬間を狙われる可能性だってある。
「流石にそのレベルの魔術師はいないようだな。それともそこまでの事はしたくないと温存でもしているのか? 何にせよ、周囲の状況を調べたいな。とりあえず、警戒せねばならないのはこの範囲か」
そう言いながらオリヴィエは地図を広げると、数か所に目印のような物を置く。
「それは?」
「敵が潜んでいる危険性がある場所だ。正確にはここから出た瞬間を即座に狙われかねない場所だな」
「そこが? 他はいないと言えるのか?」
「極論を言えばこれより近い範囲にならどこにいてもおかしくは無い。そこはどうにか対応していくしかないな。問題はこれよりも遠くの位置からの攻撃だ。敵の位置を特定するのもその位置をピンポイントで攻撃するのも、距離が遠ければ遠い程難易度は跳ね上がる。この位置……だいたい500メートル程だが、ここを超えて来ると頭一つ抜けた魔術師になるな」
500メートル……頭一つ抜けたレベルという事はこのフィールド上に複数人はいてもおかしくはないくらいか。流石に魔術師全体からみて頭一つじゃなく、この競技に参加している選手達の中で頭一つという意味だよな……? いや、遠距離攻撃だけ優れていてもそれでこれまでの予選を勝ち上がれるとも限らんから魔術師全体で考えてもそこまでおかしくはないのか?
「頭一つって言うのは、この競技の参加者の中でって意味か?」
「ん? ……ああ。単独でならそうだな。複数人で組んでいるならもっと多くなるが……開始してこのわずかな時間で合流したとは考えられにくいな」
逆に言えば、時間が経過して複数の選手同士が合流したり手を組んだりした場合は遠距離攻撃の難易度が下がって来るから隠れ過ぎてもかえって危険になるってわけか。あまりのんびりとはしてられないな。




