付けいる隙は多い
「ああ。まさにやってられん話だ。国全体を発展させねばならないという時に領主達の足並みが揃わないどころかお互いに足を引っ張り合っているという状況だったからな」
「国内の領主同士が反目し合っているとなると、周辺国家に付け入る隙を与える事になりかねないからな……かなり不味い事になりそうだな」
王様の視点から考えれば国全体が栄えた方が良いが……領主からしてみれば与えられている自分の領地さえ発展させれば良いだけの話だからな。他人の領地など知った事では無いのだろう。
「付け入る隙は確かに多かっただろうな。村や町の発展に偏りがあるというのも戦力の出しにくさを物語るし、領主同士が協力し合って戦うかと問われればそんな事も無かったのだろう。それに交易ルートがあれば大量の物資を一度に運べるわけだが、それは他国の人達にとっても同じことが言える。交易ルートをそのまま利用して一気に王都まで攻め込むって事も可能になるだろう」
「交易ルートを使用した進軍か。確かに交通が便利なら戦力を送りやすいだろうし、逆もまたしかりだ。そして領主同士の仲が悪いせいで戦力を横に広げて防衛線を構築するのは難しいと来ているわけだ」
「明らかに攻撃を仕掛ける側が有利な状況だな」
仮に苦戦していたとしても、他の領主が救援に駆けつけてくれるって事は無さそうだな。
「ああ。かなり不安定な状態が続いたが、それは他の国も同じだったらしく、潰し合うよりも交易ルート上で結託した方が得だと判断したようだな」
「まあ、確かにいくら交易ルートを奪取出来たとしても、そのルート上付近に交易相手がいなかったら宝の持ち腐れになるからな」
それじゃあ何のために手に入れるのかわからなくなる。と、いう事は交易ルートからは離れた位置にある村や町は攻め込む理由になりえるわけだ。援軍も期待できないしな。




