最も割りを食うのは
「確かに自分の縄張りの近くに交易ルートが敷かれるかどうかは今後の発展に重大な影響力を持つな。そしてその恩恵を受けられた領地が急速に勢力を拡大出来ると考えれば……領主もマフィアも一蓮托生と言えるだろう」
「まず単純に生活水準が飛躍的に上昇するからな。マフィアにしても領主にしても、それ自体には生産能力があるわけではないから、これだけで考えても影響力は絶大だな」
インフラ整備は経済活動においてかなり重要だ。人間誰だって便利な場所で生活したいだろうし、物を運ぶのだって舗装された道を通った方が良い。
「交易ルートの開通によって莫大な富を築き上げ、その財力と交通網を駆使して勢力を拡大させていった領主やマフィアなんて、世界中にごまんといるからな……狭い縄張りを奪い合うよりもよほど得な話だな」
「内側にも外側にも敵がいるって状態だからなそれは。内部で争って疲弊したところに外側から押し込まれたら崩壊するのはあっという間だろうな」
下手すれば、敵の敵は味方の理論で招き入れる可能性すらあるわけなんだからリスクは極めて高いだろうな。
「そのせいで最も割を食う形になったのは開拓を行っている小さな村だ。仮に別のところで交易ルートが構築されれば物流が分散するからな……マフィアも領主もその土地を支配下に置くか開拓を妨害するかのどちらかだ。これのせいで未開の地の開拓が著しく滞ってしまった暗黒時代も存在する」
「国としてはさっさと開拓を進めたいのに、周辺の有力貴族がそれを邪魔しまくるわけか。やってられんだろうな」
基本的に優勢な立場にある者は現状維持を望む傾向にあるからな。まあ、優位をキープして他からの逆転を許さないって状況が理想だからな。たとえ国全体が豊かになると言われても……自分が転落する可能性を考えたら慎重にならざるをえないだろうな。




