思いがけない出会い
こまめに投稿しようと努力しましたが遅くなりました。
毎日投稿している作家さんは凄いなぁと心から尊敬します。
「まあ、昼飯はここでいいだろ」
ゲイルの後ろをついて行くと食堂へたどり着いた。
「ああ、……意外と混んでいるな」
「丁度お昼ごろですからね」
「じゃあ僕はどこか席が空いてないか探してくるよ」
ウィルがそう言うと駆け出した。
「おい! 何か頼まなくていいのか!」
「あとで買うから大丈夫ー!」
本人がそう言なら構わないが……。
とりあえず何か頼むか。どうやらここは食券を買うタイプらしい。
俺は無難にカレーを食べることにした。流石に初めての店で奇抜なものは頼めないからな。
とはいえいろいろな料理のなかからひときわ異彩を放つものを俺は見逃さなかった。そしてその驚愕の一品に思わず声を荒げる。
「なんだこのコーヒー!?」
「え? あ! なんだこれ!? クッソ高ェ!!」
「カ、カレーの十二倍!? どんだけ強気なの!?」
ぼったくりにしても酷いだろこの値段は。誰が買うんだこんなもの。
「最高級のものはこれぐらい普通よ」
ミーシャが平然と言ってのける。さては金持ちだな?
「飲んだことあるのか? ああいうやつ」
「あんなに高いのはないわ。」
「そ、そうか」
「と、とにかく何か頼みませんか? ウィリアム君も席を見つけたみたいですし」
さくらにいわれてすぐに我に帰った。コーヒーの余りにものインパクトですっかり忘れていた。思いがけない出会いとはこういうのをいうんだろう。
「そうだな、すぐ頼もう」
俺達はすぐに食券を買いさっさとウィルと合流した。その後ウィルが食券を買いにいく。あいつはコーヒーに気付くかな?
◆◆◆◆◆
昼食を食べ終えた。カレーはなかなかの味だった。他の連中が食べたのも全て美味しそうに見えた。実際美味しそうに食べていた。
「なんだ、お前ら皆旧知の仲って訳ではなかったのか」
食事中に話していたなかで明かされた衝撃の真実に少し驚く。
「ああ、俺とエリーは幼なじみたがな」
「他の皆とは入学式が始まる前に知り合ったのよ」
「そうだったのか」
「ねえ、皆はクラスどこなの? 僕は武術科の三組だけど」
俺は学生証を確認する。この学園は武術科と魔術科で三組ずつに分かれているようだ。いわゆる剣と魔法というやつだな。入試のとき向いているほうへ分類されたようだ。
「俺は武術科の一組だ」
「まあ、そうだろうな」
俺の言葉に即答してくる。
「体つきを見れば一目瞭然ね。でも凄いわね! 一組って特に優秀なクラスなのよ」
露骨過ぎるだろ、クラス分けの仕方。
「魔術科もそんな分け方なのか?」
ゲイルが聞いてくる。心なしかどや顔をしているように見える。
「いえ、魔法の分類で決まってるみたいですよ。精霊魔法・召喚魔法・それ以外の希少なもので順番に」
「こっちは成績順じゃねーのかよ……」
「その顔で精霊魔法って似合わないわよねー」
エリーのかなりアレな物言いにゲイルが食ってかかる。
「顔ってなんだよ! 関係ないだろ!」
「でも……精霊魔法はとても扱いが難しいわよ……四大属性の魔法を全て高水準に理解して、なおかつ満遍なく使用できなければならないもの。ちなみに私は魔術科の三組よ」
「なんだよ! まるで俺が頭悪いみたいな言い方しやがって! しかも自慢かよ!」
精霊魔法……たしか空気中の魔力を利用する魔法だったな。体内のマナをあまり使用しない反面、魔法を発動する時環境に大きく依存する魔法だ。
しかも空気中のマナは炎・水・風・地の四大元素で構成されて魔法を発動するたびにマナの濃度が変化していく。極端な話教室と校庭で魔法の威力が激変するわけだ。
当然濃度を正確に分析する魔法が必須になる。待ち伏せや受け等、典型的な型にはまれば強いタイプだな。
「通常魔法はどこのクラスになるんだ?」
「確か武術科になるはずですよ」
「……? じゃあそれ以外の魔法っていうのは」
「魔術科三組はほとんど少人数みたいですね」
ということは過半数が武術科になるな。クラスの数が同じなのは相対的に魔術科を優遇しているということか。まあこの中でも魔術科はゲイルとミーシャの二人だけみたいだしな。
ちなみにエリーとさくらは二組のようだ。
「そういえば話は変わるけど皆この後どうするの? 皆外国育ちだから寮生活だと思うけど。一旦解散する?」
「荷物届いているからな……一人部屋だし別に良い、いやそういう問題でもないか」
周りの顔色をみる。……どうやら部屋の確認や模様替えしたいというのが主流らしい。そしてエリーもそのことを察したようだ。
「それじゃあ今日はこれで解散ね。また明日会いましょ」
ああ、またな。といって皆と解散しようとした瞬間だった。突然遠くから声をかけられた。
「お兄様! やはりお兄様ですね!」
声のする方向を振り向くと赤い髪の女の子が声をかけてきている。どこかで会った事のある顔だ、しかしそんなはずはない。あいつがこの世界にいるはずがない。
念のため、ゲイルとウィルを一瞥する。知らなそうだ。
そのまま俺達と合流してきた。
「あ、あれ? たしか入学式で」
「生徒代表挨拶してた……金翅鳥カルラさん? お兄様? 名字が……?」
迦桜羅……なのか? なんでこいつがここに!?
「義妹の……カルラだ……」
「本当にお久しぶりですね! まさかこんな偶然があるだなんて。いえ、これは奇跡!? それとも運命!」
凄いはしゃいでる。
「兄妹で名字が……それに同じ学年!? な、なんで」
「ヴィナター義母様の子供だからな、父親が同じだけだ」
「それはつまり、あの、ああああぁ!! ごめんなさい! 知らないこととはいえ、あの」
「気にするな。23人も義母がいるんだ、なれてる」
この俺の発言にさらに混乱は加速する。
「23!? お前の親ハーレムなの!? 第何夫人とか!?」
「第何という言い方はしない」
「に、24人も奥さんがいるなんて」
「いや、母親は23人だ」
「はぁ!? 義理の母親が23人なんでしょ!?」
「ああ、単に俺が誰の子でもないだけだ」
「嘘ぉ!?」
頼むから冷静になってくれ。家庭の事情を説明するのも複雑なんだよ、うちは。できれば説明したくない。俺は面倒が嫌いなんだ。




