解決したらまたすぐに問題発生
「結果から言えば、問題はすぐに終息した。だが、それはすぐに別の問題を発生させた。規則を作りならず者を排除していったが……すぐにその規則に反しない範囲でならず者達が干渉してくるようになったわけだ」
「マフィア連中のやりそうな事だな。だが、それだって規制していけば……まあ、いたちごっこになるが……」
この手のいたちごっこを無くす方法は一つしかない。法の規制を搔い潜って来る以上、根本の原因であるマフィアの方を撲滅する事のみだ。
「規制を強めていく……確かにそれも解決方法の一つだ。だが、彼らもバカじゃない。規制されないように策を講じた。火霊祭が執り行われる場所から少し離れた場所を占拠し始めたのだ」
「少し離れた場所で……? 現地でやってるわけじゃないからセーフって事か?」
「いや、良いか悪いかではなく、規制そのものが出来ないと主張してきたわけだ」
「離れた場所だから規則を設定する権限そのものが無いってわけか……結果から言えば年に一回しか行われないイベントだ。そのために離れた村や町の法の改正を働きかけるのは確かに現実的では無いな」
いくら何でもそこまで強い権限を大会の運営委員会が保有しているわけがないからな。もしそれを本当に実行に移すなら、もっと強い権力にお願いを聞いてもらうしかない。いわゆるロビー活動というものだな。
「実際、マフィア達はその方法で生き残った。……いや、時代を考えればその方法で生まれたと言った方が正しいか……とにかく、運営が手出し出来ないところで活動するようになったわけだ。そして厄介なのが当時は規模の大きい都市と呼べるものがほぼ皆無だったという点だ。これによって交通網は非常に乏しく、人々が通る経路は非常に限られたものだった」
「選手を含めたすべての人がその地点を経由しなければ行き来が出来なくなるような土地……いわゆるチョークポイントを取られたら運営は手も足も出んな」
現地でどれだけ規制を強めてもその一歩手前の地点で好き勝手やられたら本質的に問題は何も解決していないに等しいからな。これは厄介な問題だな。




