ある意味バランスは取れている
「ああ。遠くから物体を転送魔法で行き来させる事が出来る以上、情報のやりとりはいくらでも出来る。放送で定期的に状況を伝えて来るという事は、少なくとも有線でスピーカーに繋いでしまえば通話の類も出来る事になるからな」
なるほど、有線での情報通信か。確かにその方法ならケーブルを切断でもされない限りは妨害の手段はなさそうだな。
「そうなると、問題になるのはケーブルをどうやって繋ぐかだな」
「そこも大した問題は無い。転送魔法でゲートを展開して空間同士を繋げてしまえば、極論を言えば今この場で会場の外にいる誰かと通話も可能だ」
「魔術師がその気になれば外との通信を行うのはそこまで難しい事ではないわけか」
「それどころか、私達の位置の把握手段によってはここから一時的に離れる事さえ可能ですらあるな」
「おいおい、いくら何でも流石にそれは無理だろ?」
そんな事まで可能になってしまったら、ある程度得点を確保したらさっさとフィールドから撤退して時間切れまで生き残るって事が可能になってしまうぞ。
「いや、運営の言い分から考えるに恐らく可能だ。基本的に障壁発生装置の位置や状態を調べる事で状況を把握しているようだからな。逆に言えば、障壁発生装置さえここに存在してしまえば、私達審査官や選手がどこで何をしているかは知りようがないわけだ」
「装置さえここにあれば、俺達がこの自然公園の外に出てしまっても把握しようがないって事か? 随分とガバガバな管理方法だな……いや、装置の破壊をもって得点とするなら、ここに装置を放置しなければならないというのはかなりリスクの高い行為になるのか」
それこそ放置されている装置を破壊してしまえばそれだけで戦うことなく得点を得られるわけだからな。バランスはある意味取れているのか。




