まだまだ穴だらけの対策
「ラジオから情報を仕入れながら戦うって真似は出来ないわけか。まあ、そんな事が出来たら色々と台無しだもんな」
「流石に私でも思いつくような事に対してはちゃんと対策をしているようだな」
そう言いながらオリヴィエはつまらなさそうに持っていたラジオをテーブルの上に無造作に置く。
「そうなると、周囲の情報を知る手段は水晶玉から映し出されるカメラの映像だけか。いっそのこと、気球にでも乗せて浮かべて見たらどうだ?」
「上空から地上を見下ろして選手の位置を特定するつもりか? 出来なくはないとは思うが……どんな精度のレンズだそれは? それにそんな距離からじゃまともに受信も出来んぞ」
「やはり距離が遠くなればなる程、受信は難しくなるか」
「それもあるし、ラジオの件も考えれば長距離の通信はどんな形であれ妨害されていると考えるのが妥当だろう? まあ、私から言わせたらまだまだ穴はあるがな」
確かに電波は妨害しても魔法は妨害出来ませんじゃ話にならないな。
「魔法でも短距離の通信と長距離の通信では勝手が違うのか」
ラジオでも波長の長い長波と波長の短い短波では性質が違うからな。ラジオの電波を妨害しているという事は長波を妨害しているという事だろう。短波は届く距離が短いから近くに電波塔が立ってさえいなければそれだけで使用不可能になる。
「ああ。当然の話だが、離れている程難易度は高い。それでもランニングコストや外的要因に寄る妨害等を一切考慮しないのであればハードルは一気に下がるがな」
「僅かでも情報を仕入れる事が出来れば有利になりうるこの状況ではあって無いに等しいハードルって事にならないか?」
「その通りだ。穴があるというのはそういう事だ」
「その方法ってのはいったいなんだ? お前がヒントになるって事はやはり転送魔法の類か」
転送魔法で情報交換と言うと……方法は山ほどあるだろうな。そして転送魔法を妨害している様子は……今のところ一切感じられないな。




