支払いの対象
「杖の入手難易度そのものが高いんだとしたら、同じ杖を複数持ち歩くってのも相当無理があるんじゃないのか?」
「まあね。そもそも普通はそんな事しなくて良いんだからまともな使用法じゃないよ。多分、よっぽど強力なモンスターを召喚するのに必要なんじゃないかな」
強力なモンスターを召喚するためにどうしても下準備として召喚しておく必要があるモンスターというわけか。
「説明を聞く限りでは必須級と言っても良さそうなモンスターだと思うが……それだけに召喚不可能にする意味がわからんな。そうならざるを得ないという事か?」
「多分そうなんだろうね。エサにでもしたんじゃないの」
「しかし、エサにされたんじゃ変な話だがエサにされたって話は誰の耳にも伝わらないよな? モンスター側から何か調べる方法でもあるのか?」
こう言っては何だが、死人に口なしと言うくらいだからな。召喚したモンスターが全滅していれば、その情報は仲間のモンスターには把握しようが無いハズだ。
「最初は知られないだろうね。だけど、死亡率が百パーセントなわけだからね。何かしら調べようとはするだろうし、何も知らなかったとしてもそんな魔術師とは契約を結びたくないでしょ」
まあ、確かに召喚されたら生きて帰って来れないとモンスター側から認識されてたとしたら、拒否権があるなら皆拒否するだろうな。
「まあ、相手から何を支払われたとしても、自分が死んでたら意味が無いからな。そこは慎重にもなるか。……待てよ? 召喚の度に死んでたらその都度新しく他のモンスターと契約する必要があるんじゃないか? 契約したモンスターはいなくなったわけなんだから」
「その場合だと種全体とか、特定の群れとかの単位で契約したりして複数体召喚出来るようにしておくんだよ。それこそ微生物なんて一匹だけ召喚してもほぼ意味がないからね」
という事は支払う対象はその群れ全体に対してか。




