サモナーのセオリー
「相手の拒否を無視した召喚魔法って言うのは、理論上は可能だね。私は聞いた事が無いけど」
ミーシャからしてみたら常識外れの所業ではあるらしいな。
「その発言から考えると、微生物は拒否も賛同もしないと考えるのが妥当だな」
まあ、思考や感情を持たないであろう微生物に対しても召喚魔法が適用される事を考えるなら、拒否も賛同も無いだろうな。
「ああ。決められた行動を取るだけだ」
「その決められた行動ってのはいったい誰が決めたんだ? ……生態って意味じゃなく契約の基準って意味で」
「さあな。物理法則みたいなもので誰が決めたとか無いんじゃないか?」
なるほどな。必要なだけの魔力があれば呼び出せるって事か。
「……と、いう事は微生物の類の召喚には難しいとか簡単とか、そういう概念は無いって事だな?」
「ん? それは流石にあるんじゃないか?」
「あー……何となく言いたい事はわかるかもね。条件を変える事が出来ないんだから難易度は一律って事でしょ? ある意味では合ってるかもね。まあ、その条件を緩和出来ていない時点で才能無いって話になるけど」
なるほどな。召喚魔法を行うにあたっての条件をいかに緩和するかが魔術師の腕の見せ所というわけなのか。
「まあ、交渉して契約を交わすって事を考えたらいかに自分に有利な条件で契約するかって話が前提になってくるだろうな」
「そこは才能の世界だね。極端な話、事なる種のモンスターの寄生や共生を再現する事で実質的に条件を踏み倒すって常套手段もあるし」
「……どういう事だ?」
「餌を召喚してから本命を召喚するってこと」
なるほどな……生贄要員を召喚して生贄として利用するってわけか。それで呼び出された奴は堪ったものじゃないな。
「……それ、出来るのか? と、言うかやって良いのか? それって」
「組み合わせ次第かな。普通に考えたら向こうの方から契約を解除されるような事だけれど……食べられる事が前提の生物なら問題無いし」
「食べられるのが前提と言うと……」
「例えば植物だね。植物系のモンスターとの契約を簡略化するために昆虫系のモンスターと契約するとか。共生関係のあるモンスターをセットで考えて契約を結ぶのがサモナーのセオリーだよ。最初のモンスターとの契約が重かったとしても、共生関係のモンスターと契約が結べればそれを根拠に条件を軽いものに修正できるし」
虫と契約して、その虫に花粉を運んでもらうって条件で植物と契約して、花の蜜を吸わせるって条件で虫と再契約していく……これで虫と植物両方を簡単に召喚出来るようにするって事か。




