微生物の召喚
「……細菌や微生物はそもそも召喚するのが楽とかそういうのは無いのか?」
「特にそういう話は聞かんな。それに、その理屈で言えば植物も楽に召喚出来る事になるが、そういう話も聞かないし、むしろ植物を召喚する魔術師はかなり稀だ」
意思の有無で難易度が変化するってわけでもないのか? 後はパッと思い付くのは体積や質量だが……?
「小さくて軽い生物の方が召喚しやすいとかは無いのか? それなら微生物はそもそも召喚しやすいって話になるぞ」
「そういう話も聞かないね。召喚魔法の場合、召喚する生物の持つ魔力の方が影響が強いから、微生物の召喚はむしろ効率が悪いと言われてるよ」
「……微生物ってそんなに大量の魔力を保有しているのか?」
「大きさで換算したら常識外れの生成量だね。実際、錬金術も微生物の働きに頼っている部分はあるし、それに特化した学派もあるくらいだしね」
食べ物で言うところの発酵みたいなものか。
「意外と直観に反する部分もあるな……」
「一番の問題は微生物とどうやって召喚の契約を結ぶのかって問題もあるからね。あまりにも特殊だから現状は例外扱いで考えられて、統一理論の提唱が求められている分野だね」
「統一理論とはまた難しそうだな。それよりも微生物との召喚の契約って……どうやって結ぶんだ?」
正直、説明を受けたところで理解出来る気がしない統一理論の話よりも、契約の結び方の方がまだ興味がわくな。
「さあね。契約した事がないからわからないけど……ある意味交渉の余地が無い相手だから手順はかなり複雑だって聞いた事はあるね」
「そもそも感情や思考の存在しない生物との契約って物理的に結べないような気がするが……という事は相手の意思とか完全に無視した召喚方法とかも存在するって事か?」
それなら手順が複雑で高難度化するというのも感覚的に理解しやすいな。




