最有力候補の一つ
「なるほどな。確かに魔法陣を空中に浮遊させ続けるのはかなりの手間がかかりそうだ」
「魔法陣無しに物体を空中に移動させるのはかなりの力量が必要だ。……が、逆にそれが出来る魔術師はそれだけで脅威と言える。単純に重い物体を相手の頭上に転送すればかなりの攻撃になるし、もしも人間一人を空中に転送出来れば、相手に対策が無ければその一撃で倒す事だって可能だ」
確かに相手の頭上に岩の一つでも転送させて落とす事が出来ればかなりの攻撃手段になりそうだな。それに相手を上空にワープさせて落下死させるというのも単純だが協力な攻撃法と言える。
「相手を上空に転送させて落下させるのか……着地に失敗すればダメージを与えられるな」
「ほんの数センチだけでも相手を転倒させる事くらいは狙えるからな。近距離攻撃にせよ遠距離攻撃にせよ、転送魔法以外に何らかの攻撃手段を持っているなら習得しておいて損は無い魔法だ。もっとも、生物を転送させるのはかなり難易度の高い魔法だがな」
「お前でも生物の転送は出来ないようだからな」
様々な武器を取り出してはそれをさらに転送させているオリヴィエだが、それでも生物を転送させる事は出来ないようだからな。
「まあな。そっちの方面に特化していくと召喚魔法の分類になっていくわけだが……根本的に原理が違うらしく、私には召喚魔法の才能は無いようだ。逆にミーシャは物体の転送は得意ではないハズだぞ」
「なるほどな。生物とそうでないものには相当な違いがあるらしいな」
「一説によると転送する対象の意思が関係するんじゃないかって言われているね」
「意思? 相手からの同意があれば簡単に転送できるって事か?」
俺はミーシャに疑問を投げかけた。確かに意思の有無は生物と非生物の違いの一つと言えそうだ。
「うん。生物の中では自分自身を転送させるのが一番簡単とされているのもその根拠の一つだね」
「現時点での最有力候補の一つだな。もっとも、その仮説が正しいとする場合、微生物や細菌のようなおよそ感情を持たないような生物からどうやって同意を得ているのかという疑問が出て来るのだがな」




