もっと合理的な方法は
「……用途も限定的だし、その用途でもまともに使用するのはほぼ不可能って……どんな欠陥品だよ? 実際にまともに使用された事はあるのか?」
「ああ。とある小さな村ではこの使用法で狩りをしたり賊や魔物を撃退しているらしい」
防衛用か……確かに小さな村だったら全域をカバー出来そうにも思えるが。
「射出のためにかなりのエネルギーを使うよな? それはどこから捻出しているんだ? 狩りで賄えるものでもないように思うが……?」
「それはわからん。圧倒的な精度で成功させているのだろうが……」
「それにしたって防衛にも使用していたらエネルギーの供給が間に合わないんじゃないか?」
正直なところ、これにどれだけのエネルギーが必要なのかは皆目見当も付かないが、もっと効率的なエネルギーの利用法があるような気がしてならない。
「まあ、防衛目的ならもっと合理的で効率を重視したものにすべきかもな」
「そもそもの話だが、単に上空に飛ぶだけならカタパルトを使わなくても転送魔法で移動すれば良いんじゃないのか?」
「ん? いや、それは……必要な道具も技能も全く異なるからな……」
「そりゃあ、今この状況ならわかるが、小さくても村っていう単位でなら用意出来そうなものに思えるが……流石に村レベルじゃ無理か?」
上空にまで射出されて、その後で無事に着地してまた拠点にまで戻る事の方が技能としては特殊性が高いような気もするが、出来る出来ないの観点で考えるなら、その村にそれが出来る奴が偶然いたと考えるのが普通か。
「村どころか、街……国のレベルでようやく実行出来る者が出て来るというレベルだぞそれは……」
オリヴィエは怪訝そうな表情で俺を見つめる。
「そんなに少ないのか? 装置の類を使ってもか?」
「恐らく何か勘違いしているのだろうが、転送魔法は魔法陣から魔法陣へ移動させる方法が最も効率が良い。問題なのは、上空にその魔法陣を常に設置させておく手段が無いという点だ」
なるほど、そういう事か。確かに空中に魔法陣を設置するには、空中を飛行する物体を用意する必要があるな。そんなものを常に空中に飛ばして維持し続けるとしたら……確かに村の規模では厳しいだろうな。大砲と飛行機どちらが維持管理しやすいか比べるようなものだ。




