反則への対応
「自分の知らないところで障壁が破壊されたとして、それをどうやって把握するんだ? というかそもそもの話、自分と切り離して遠隔で障壁を発生させるなんて事が可能なのか? 確か腕輪と連動してたよな?」
俺は運営から渡された腕輪をオリヴィエに見せる。当然オリヴィエの腕にも同じものが付けられている。
「そんなもの、いくらでも細工のしようはある」
「そういうものなのか……実際にその方法で自分と障壁を切り離したとして、問題になるのはルール上脱落しているのに戦闘行為をしてしまった場合のペナルティだな」
「いわゆるゾンビプレイというやつだな。そのペナルティは単純だ。反則なのだから退場させれば良い。しかし、貴様が言いたいのは罰則の内容では無く、どうやってその罰を与えるかだろう?」
その通りだ。反則した選手や審査官に対して罰則を与えるのは簡単だ。しかし、それで割を食った選手に対してどのような対応をするのかについては俺の立場ではわからん。それこそ相手の反則行為で障壁が破壊された場合にどういう判定が下されるかは当人にとってかなり重要なものになるハズだからな。一番良いのはそういった問題が発生しない事だが……反則をどうやって認識してどう止めるか俺達審査官に何の説明も無いのはどうするつもりなのだろうか。
「反則行為が発覚した瞬間に止めに入る事が出来ればそれがベストだが……そんなのは現実的に考えて無理だろうな」
俺達が出た大会ならともかく、ここじゃフィールドがあまりにも広すぎる。単純に選手と係員との物理的な距離がありすぎるわけだ。
「まあ、放送で警告するというものになるだろうな。それでも戦闘を続行すれば退場だ。係員の方に転送魔法が扱える魔術師がいるのは現時点で明らかだから、そこで係員を転送するのだろう」




