運営の想定
「武器で攻撃を弾ければ障壁へのダメージを抑えられるって事か。何のための障壁かわかったものじゃないな」
本来は自分の身を守るための防御壁なのに、その防御壁を守りながら戦う必要があるというのは本末転倒だな。
「全くだな。だが、案外そこを利用してくる者も多いかもしれんな」
「ん? 効率良く障壁を破壊出来る攻撃方法でもあるのか?」
「いや、そういう意味では無く……もっとも、そういう攻撃手段もあるのはあるが……障壁を破壊されない最も確実な方法があるという話だ」
「障壁を破壊されない……? まさか、障壁の外側に別の障壁を張るって言うんじゃないだろうな?」
「それもありと言えばありだろうな。むしろ正攻法としてその手段を選ぶ選手は多そうだ」
障壁で障壁を守るって……もはや何がしたいのかわからんな。
「……まあ、障壁を破壊した直後は相手も油断しそうなものだからな。ダミーの障壁を破壊させて、油断を誘いながら不意打ちを決めるというのはありえそうではあるか。それで? お前が言っているのはどういう話なんだ?」
「やっている事そのものは今の貴様に近い。障壁を土の中に埋めてしまうのだ。その上で自分だけは自由に行動する」
「……? 障壁の中に自分自身が隠れないって事か……? そんなのありか……?」
「普通に考えれば無しだな。だが、ルールには障壁を破壊されたら敗退とあるが、その障壁で身を守らなければならないとは一言も言われていない。ほぼ屁理屈ではあるが……ルールを厳密に解釈するなら展開した障壁をどこかに隠してしまうのはありとも言える」
それはもう当たり前の前提条件過ぎてあえて言及していないだけなんじゃないのか?
「障壁発生装置は必ず身に着けておかなければならないって条件は……」
「無いな。特定の時刻になったら勝手に展開する機能が発動するだけだ」
「まさか運営はそれを想定しているのか……?」
「それはどうだろうな? 恐らく警戒はしているが、何とかルールで縛ろうとはしているだろうな。障壁が破壊されたら敗退で、その後での戦闘行為は禁止されているからな。知らないところで破壊されでもしたらその時点で反則になる」




