もっと合理的な方法がある
「なるほど? 相当難しいようだな」
「ああ。だが、全くいないというわけでもない。この大会でなら、警戒すべきだろうな」
圧倒的力量の持ち主が集うこの大会なら、空中戦を得意とする魔術師がいてもなんらおかしくはないというわけか。
「今までに出た情報を考慮すると、ミーシャくらいの体格ならありえると考えた方が良いのだろうな」
「だが、さっきも言ったように召喚魔法の使い手なら前提は変わるぞ? そもそも自力で飛んでいないんだから当たり前の話だが……」
「それでも人間一人を乗せて空を自由自在に飛べるようなモンスターが必要になるんだ。流石に一目瞭然だろそんなのは」
いくら何でも透明の空飛ぶモンスターだとか、ミクロサイズで人間すら運べるような空中浮遊するモンスターだとか、そんな意味不明なレベルのモンスターはいないだろう。
「まあ、一目瞭然と言われたらそうだろうな。そんな事が出来るモンスターなんて数えるくらいしかいないだろうからな。少なくとも私はペガサスとドラゴンくらいしか思い当たる節が無い。どっちにしても超高等魔法だがな」
「単体でならそうだけど、群体での運用も含むならもう少し選択肢は増えるよ」
人を乗せて空中戦が可能なモンスターの候補を出すオリヴィエに対し、ミーシャが話しかけて来る。
「複数のモンスターだと? それは空中を移動出来るというレベルじゃないのか?」
「どのくらいを空中戦と呼ぶかにもよるけど……ずっと空中に浮き続けて攻撃を仕掛け続ける事ならやろうと思えば私でも出来るね。それよりも地上で隠れながら飛行用のモンスターも攻撃に使った方が良いってだけで」
出来るか出来ないかで言えば出来るが、そんな戦い方をするならもっと合理的な戦い方があるって事か。確かに空中戦が最も合理的になるって状況はあまり存在しないか。




