空中戦の問題
「離陸の際に一番エネルギーを使うのか。……重力に逆らって飛び立つわけなんだから当然だな」
「ああ。理想は飛行している状態で敵を撃破する事だ。これならすぐに帰還する事が出来る。それどころか他の敵に対しても攻撃を仕掛けに行く事だって可能となるだろう」
それだけ地面に着地するのと地面から飛び立つのにはエネルギーのロスを生み出すし、隙も大きく作る事になるのだろう。
「それだけ地上に降り立つのはリスクがあるってわけだな。まあ、それは空を飛ぶ生き物ならほぼ全部そうだな」
「両方優れていてもあまり意味は無いからな。むしろ片方に特化していた方が有利とさえ言われている。両立を目指すとどうしても中途半端になってしまうらしい」
まあ、それはそうだろうな。鳥で言うなら足と翼の両方の筋肉を発達させる必要があるわけだ。現実的に考えてそんなのが繁栄するとは思えない。
「空を飛ぶ場合、最も重要になってくるのは体重だからな……足を速くするために筋肉を発達させたらその分だけ翼の方も発達させる必要がある。まあ、両立は無理だろうな」
「私の場合、空を飛ぶのに必要なものは筋力ではなく魔力だがな。だが、空中戦を得意とする魔術師は基本的に体重も装備の重さも限界ギリギリまで絞り込む傾向にあるな」
「お前は……その傾向にあるのか? 装備を転送魔法で取り出しているって事は絞り込んでいるとは思うが……しかし空中戦を得意とするって程空中戦はしていないよな?」
俺の記憶では、オリヴィエの戦闘スタイルは地上戦がメインのハズだ。
「ああ。貴様ならすでに察していると思うが、私にとって空中戦は基本戦術じゃない。どちらかと言えば隠し玉に近いものだ」
「まあ、そっちの方が安定して強いなら普通はそっち主体で戦うだろうからな。何かしら致命的な欠陥があるのだろう。不安定の原因となると、魔力の消耗か」
「それもあるし、それ以外にも体格の問題もある。一部例外もあるが、基本的に空中戦は貴様の指摘通り身軽である方が有利に働く。その点で言えば私は体重が重すぎるな。もし私が空中戦を主体に置くなら、最低でも体重を10キロは落とす必要がある」
最低でも10キロか……そこまで減量したら健康被害が出かねないな。
「逆にどれくらい軽かったら空中戦を主体に出来るんだ……?」
「魔力の質と量……属性にもよるが、その全てに向いているとされるフィリパや部長でさえメイン戦術に組み込んでいないレベルだからな……ミーシャくらい小柄でようやく選択肢に入るくらいだろう。もっとも、空を飛べるモンスターを召喚してそれに乗れば良いと考えればこの制限はかなり緩和出来るがな」
少しくらいなら飛べるが、それをメインにするには身軽と言うより小柄じゃないと成立しないという事か。まあ、本来なら空を飛ぶなんて能力を有していない人間が空を飛ぶからには、ミーシャくらいの体格なら実現可能というのはむしろ破格と言えるのだろう。




