攻撃した後どうするか
「突撃か……お前の場合、やる事は変わらんな。変わるとしたら、突撃を仕掛ける距離か」
オリヴィエは元々、俺やミーシャのように待ち伏せをするつもりは無いようだからな。戦い方そのものは空から奇襲を仕掛けて敵を撃破したらまたこのテントまで戻って来るのを繰り返すだけだ。
「ああ。終盤になれば、より遠くにいる相手も狙って行く必要が出て来るだろうな」
「当たり前の話だが、敵が遠ければ遠い程行きも帰りも時間はかかる。その上さらに敵から発見される可能性も上がるわけだから、成功率はある一定の距離を超えて来ると一気に落ちるだろうな」
「要するに遠ければ遠いだけ逃げられる可能性も増すわけだ。肉食獣は狩りを仕掛ける距離をシビアに見極めると言うが……ギリギリを見誤れば私も同じ末路というわけか」
「言うほど同じにはならんと思うぞ? 狩りに失敗した肉食獣は力を使い果たしても獲物を得る事が出来ないわけだからそのまま飢えるだけだ。……が、お前の場合失敗したら逃げられるどころかむしろお前が逃げるはめにあう」
野生の世界なら草食動物は逃げるだけで終わりだが、この競技に関しては被食捕食の関係が成り立たないからな。お互いがお互いを狩りの対象としているわけだ。
「考えたくない状況だな? だが、どうにかして近寄らない事には攻撃手段が無いというのも事実だ」
「実際のところ、どれくらいの距離なら攻撃を仕掛けるつもりなんだ? 攻撃に成功したまでは良いが、ここまで戻って来るまでの間に他の選手に見つかって追いかけ回されるなんて絵面はあまり見栄えのいいものじゃないからな」
……とは言っても、そうやって何も知らずに俺達のいるところへ近寄ってもらった方がこっちとしては都合が良いのも事実だがな。
「敵を倒した後にいかに素早くここまで戻って来るか……もしくはいかに身を隠しながら戻って来れるかが重要になってくるな。正直な事を言わせてもらえば、周囲の選手に気付かれないまま奇襲を成功させるというのは現実的ではないだろうな」
まあ、爆発魔法なんて言う目立つ事この上ない戦法で戦うんだから攻撃を仕掛けた時点で近くにいる選手には存在がバレると考えた方が良いだろうな。




