場合によっては……
「まあ、それはむしろ同点にならない方が不自然なケースだからな。だが、そういう意味じゃ『ルール変更』はやって欲しくは無いか」
その条件で同点が発生するのは少し考えればわかる事だ。つまり運営からしてみれば想定の範囲内でなければならない状況とも言える。
「これに関しては運営も準備している事だろう。我々が必要とされているのもこの状況を減らすためのハズだしな」
「だろうな。追加の審査なんて多ければ多い程金も時間もかかるし、何より本審査の精度の低さを認める事になる。運営からしてみたら屈辱でしかないだろうな」
「競技終了までに生き残っている選手が多いと言うのは、かなり厄介な問題を起こしそうだな」
オリヴィエが指摘する通り、生き残りが多い場合はそれだけ同点が増える事になる。点差を発生させる要素が減ってしまうからだ。これが百位以内の話なら特に問題は起きないわけだが……もしもこれが百位以下で発生した場合は、一気に話が変わって来るな。
「他は適当でも良いってわけじゃないが、百位前後だけはとにかく高い精度で採点してもらわないと確実に禍根を残す事になるからな」
「ああ。そこはしっかりやってもらわねば審査官として呼び出された我々の面目が立たんな。……という事は、生存者は各グループに二十人以下とするのがノルマか?」
「直接そんな事は一言も言われてはいないが……それが一番望ましいだろうな」
ボーナスポイントを上限まで貰える選手が百名以下なら、ボーダー付近で同点が発生する可能性は格段に減る事になる。もしそれでも同点が発生したとしてもそれは少ない人数だろうし、やれるだけの事はやったと自信を持って断言できるだろう。
「百人いる内の八十人以上の脱落か。本当にそこまで減らせるものか?」
「俺達審査官を倒した場合にも得点が入る仕組みだ。実際にはもう少し生存者が多くても点差は生まれるという判断なのだろう」
「特定の選手が圧倒的な点数を独占してしまう可能性もあるハズだが……」
「それはそれで問題にはなりにくくなる。独占されると言う事は、それだけ割りを食っている選手も多くいる計算になるからな」
「……終盤になって生存者が多数確認されたら、その時は突撃する他無さそうだな」
俺達審査官が選手を倒せれば良し、逆に倒されるような事になってしまったとしても、それによってポイントを得られる選手が増えるから点差が生じやすくなるからそれも良しというわけか。場合によっては本当に運営から突撃命令が出されるかもしれないな。




