そもそもルールに不備は無いか?
「なるほどな……しかし、各グループから二十人を選出ってした方が無難な気がするが……」
「その方が公平ではあるが、戦闘の激しいグループとそうでないグループは間違いなくあるからな。本当に同じように扱うのかという問題はある。かと言って、そんな事を最初に説明してしまえば、むしろ審査官は膠着状態を狙いかねないわけだ」
確かに俺達が頑張れば頑張る程不利になるんじゃかなり話が違う。上位入り確実な選手を倒していけば身内が有利になると考えて参加している審査官だっているであろうに、かえって自分の行動がその身内を不利にしてしまっているとなれば堪ったものじゃないだろう。
「しかし勝手にルールを変えるというのも顰蹙を買うだろう。競技が終わった後に言うしかないだろうそんなものは」
「それはどうかな。今私達審査官はこの場所にいる。今なら全く違うルールを伝えてもわからないぞ?」
「一応、競技開始直前まで選手の顔が見れるような場所で待機出来るんじゃなかったか? それにこんな事は後ですぐにわかる事だ。俺達審査官から抗議が来るのをわかった上でやるとも思えないんだが……本当にそんな心配をする必要がある事なのか?」
グループ間で格差が出て来るというのはわかるが、そのためにルールを捻じ曲げるなんて真似は流石にしないと思うが。
「この大会の歴史を詳しく知らぬ貴様にはわからない事かもしれんが、決して無い話では無いのだ。ルールの変更や修正は過去に何度も行われてきた事だ」
「そんな頻繁にか?」
「ああ。そもそもの話、火霊祭は毎年毎年競技内容が異なるという特徴がある。つまり毎年ルールが違うというわけだ。そんな状態で毎年ルールに何の不備も瑕疵もない競技を設定出来ると思うか?」
参加人数を考えれば、運営が想定していない行動を取る選手は少なからず現れるだろうな。
「選手達は人生がかかっているからな……普通はやらないような事であっても、ことこの期に及べば普通はかなぐり捨てられるだろうな」
「その通りだ。今回のこの競技にしたってそうだ。本当にルール上の落とし穴は存在しないのか? ここまで隠し通してきたのだ……実際に検証したとは到底思えん。精々小規模なものを一度か二度、流れの確認のためにやったに過ぎないだろう。何より参加選手が参考にならなすぎる。係員と世界最高峰の魔術師集団だぞ?」
要するにテストプレイが十分じゃないって事か。もしかしたらルールを悪用するのも実力としてとらえている可能性まであるな。




