他に選択肢が無い
「状況が煮詰まって行けば私を狙う事に集中し始めるという事か」
「ああ。そんな終盤まで行けば競技終了の際に貰える生存ボーナスの有無は極めて重要なものになる。百位以内に入る事を目標としているが、その見込みの薄い選手はもうお前を狙うくらいしか選択肢が残っていないって状況だな」
終盤になれば、もはや自分の一挙手一投足が順位に絡みかねない緊張状態に陥るだろう。そんな中で安全策では勝ち残れない選手達は必ずどこかでリスクを取る必要が出て来る。その際に、仮にオリヴィエと戦う事のリスクが高い部類に入ったとしても、リターンを考えたら戦わざるをえない事になるわけだ。
「今更選手の一人や二人を倒しても上位陣にまで届かないくらいの点差か……確かに私か、もしくは少なくとも審査官を倒したい状況になるな」
「優勝候補と戦うよりも明らかに安全だし、何より倒した時に得られるポイントも多いからな。勿論、この競技で得られたポイントが競技終了後も何らかの恩恵があるのであれば、優勝候補達もお前を狙って来るだろうな」
これに関しては他の選手達がどう考えているか次第だな。何の影響も無いと判断するならわざわざ戦っても意味の無い相手という事になるだろうし、逆に何らかのメリットがあると判断したなら狙ってくる可能性はある。
「一応、メリットは無いという事になってはいるが……運営からの説明を鵜吞みにしない選手もいるだろうな」
「まあ、その後の競技の内容がどのようなものであるにしても、他者との競争になる事は確定しているわけだからな。問題なのは誰と誰が競い合う事になるのか……? これがどのように決められるのかを選手側は知る事は出来ないだろうからな」
もしかしたら、高得点を取った選手が有利になる裏ルールのようなものがある可能性だって否定はできないわけだ。




