召喚方法
「ん? 召喚魔法を使うのか? 本番まで温存しておいた方が良いと思うが……穴を掘らせるという事はテイムも成功しているんだろう?」
「まあね。だけどそんなに長い時間は使役しないし大丈夫でしょ」
そう言いながらミーシャはオリヴィエの転送魔法を経由して出現させた杖を持ち、魔力を込め始める。
「やはり、長時間使役する方が魔力の消費は大きいのか……途中で魔力が切れたりとかはしないのか?」
「そりゃあ、あるだろう。戦闘中ならともかく、この状況で魔力切れを起こす可能性は低いとは思うが」
「もし魔力が切れたらどうなるんだ?」
「それは……契約次第だな。制御不能に陥る場合もあれば、元居た場所に再転送される場合もある」
「場に残るか元の場所に戻るかで違いがあるのか……」
召喚したらそれっきりってわけでもないのか。……まあ、召喚した後で元の場所に戻せないんじゃ何かと不便そうだし、そういうものなのだろう。
「ああ。転送そのものにも魔力を使うのに、コントロールにまで魔力を消費するというのだから燃費の悪い魔法だ。もっとも、腕の良い魔術師は契約によってこれらの負担を軽減するようだが……」
「より少ない魔力消費で言う事を聞かせられるって事か?」
契約の内容ってのがどんなものになるのかはわからないが……より単純な命令しか応じないのであれば魔力の消費を抑えられるとかそういうルールでもあるのか?
「まあ、そういう事だな。端的に言えば術者とその生物との信頼関係次第だな。強固な信頼関係が結べているのであれば、極論、コントロールのために魔力を注ぎ込む必要が無くなる。つまり、顕現時間のみに魔力を使えると言うわけだ」
「召喚に制限時間がついているのか? 召喚した後でそのまま放置というのは何かまずかったりするのか?」
「その土地の環境に影響を出してしまうという問題もあるが、それ以外にも別のタイミングでもう一度召喚しようとした際に召喚可能なモンスターがいないという問題が発生したりもする」
元の場所に戻さずにその場で放置したモンスターは召喚の対象として選べないという事か? 確かにそんなデメリットがあるなら、珍しい生き物程、召喚してそのまま放置って事にはならなそうだな。




