近寄る人間を検知する方法
「ふむ、二発目も来ると予想するなら上空も警戒すると言いたいわけだな? 一理ある意見だが、そこまで致命的な問題では無い。と言うのも、一発目が着弾した時点で私はすでに十分な高さまで上昇し終わっているからだ。勿論、上を警戒されていない方が急襲は成功しやすいが、上昇が終わってしまった以上は次の私の選択肢は攻撃を仕掛けるくらいしか残っていないのだから考えても意味が無いな」
……まあ、確かに大砲なんてインパクトのある兵器を持ち出して来ておいて、その目的が陽動や時間稼ぎだとは思わないだろう。
「大砲を使うのがアリだってのはわかったが……問題は他にもあるぞ? まず、敵味方の区別をどうやってつけるかだ。敵だと思ったら審査官でしたじゃ大惨事になるぞ」
「確かにそれは不味い。索敵魔法で識別しようにも、私では半径50メートルが精々……大砲の射程距離では無いな。よって私も通信装置を使う」
そう言いながらオリヴィエは転送魔法で水晶玉と三脚付きのカメラのような物を出現させた。
「そいつは……」
「カメラに見えるだろう? 実際にはほぼカメラではあるのだが……厳密にはゴーレムに分類されるらしい。この水晶がコアの役割を果たしていて、人間を検知するとその方向へレンズを向けて映像を送るように出来ている」
「人間が近くを通ると自動で知らせてくれるって事か? 便利な道具もあるみたいだな。その映像はどうやって送られてくるんだ?」
「受信用の水晶が存在する。これだ」
別の水晶を俺に見せて来る。
「これを頂上付近に設置して様子を伺うわけか。普通に検知しても良いが、仮に破壊されたとしてもそれがわかれば近くに誰かがいるという事そのものは把握出来るわけだから、どう転んでも損は無いな」
悪くない作戦だ。これならそもそも監視カメラに気付かれないように移動しない限りは俺達の方で警戒する事が出来る。これが完全に看破されるとしたら……そんな相手にはどうやっても無駄な努力になるから考える意味は無いな。




