頂上への攻撃方法
「ああ。高低差を利用した戦い方だからな。相手により上の位置を取られると途端に不利になる。だから丘の頂上に敵が来た時の事を想定して何かしらの策を打っておく必要があるわけだ」
「頂上付近に人が来たのを事前に察知する仕掛けを張り巡らせるとかは思いつくが……こっちはこの場を動く事が出来ん。つまり完璧に身を潜ませるか、頂上付近を攻撃するための仕掛けが必要になるな。大砲でも設置するか?」
「大砲か。それはアリだ。照準を予め固定しておけば、後は導火線に火をつけるだけで発射出来るからな」
半分冗談のつもりで大砲と言ったのだが……案外普通に俺の意見を取り入れて来たな。
「だが、いくら大砲って言っても、一発だけで敵を倒せるかと言われたら微妙なところじゃないか? そもそも当たるのかって話を含めてもな」
大砲は本来、城だとか船だとかの巨大な物体を攻撃するための兵器だからな。人に向けて撃つ物じゃないし……人を狙って当てられるようなものでもないだろう。
「確かに大砲と言うのは訓練された兵士が扱うものだ。それでも百発百中とはいかないのが現実だな。だが、けん制くらいにはなるだろう。発射音と直撃音は確実にそれを聞いた者をその方向へ向かわせる。一瞬でも意識を誘導出来ればそれで十分だ。その隙に上空まで一気に飛んで急襲を仕掛けられるのだからな」
大砲の直撃にはそこまで期待しないという事か。まあ、命中精度や連射性を考えたら外した後の事を考えるよりも外す事を前提で次の一手を取った方が良いかもな。
「大砲の音に気を取られて空への警戒が薄くなるって作戦かもしれないが、上手く行くかどうかはわからんぞ? 確かに砲撃された側からしてみたら発射音は下から聞こえて来るし、自分の近くに着弾するだろうから意識が空へと向かないという理屈はわかるが、二発目以降を警戒するならむしろ上空への警戒が増す可能性も普通にあり得るぞ」
発射地点がどこだろうが着弾地点がどこだろうが砲弾は山なりに飛んでいくものだからな。次も来ると考えたら体を地面に伏せて物陰に隠れるって行動を取る可能性は普通にある。その状態で上空からオリヴィエが丘の頂上へ急襲を仕掛けたとしても、上手く行くかどうかは相手の行動次第なところはありそうだな。




