容量の選択
「とりあえず、聞くだけ聞いてみるか」
全員が同じ場所に転送されても時間の無駄になるため、話し合いで決めているようだった。と、言っても……どこのグループも最初に場所をした人がそのままその場所へ転送されると言う、実質早い者勝ちの状態ではあったが。
「ん? 良いんじゃないかそれで」
ご多分にもれず、俺達の意見はそのまま受け入れられた。
「じゃあ……決まりだな」
「行き先は決まったし、次は障壁の容量だな」
「俺は一番大きいサイズを選ぶが……お前はどれにするんだ?」
「無論、一番小さいサイズだ。重いとその分だけ機動力が下がるからな」
そう言いながらオリヴィエは一番小さいサイズの魔力バッテリーを手に取る。
「選手もこれを担ぐんだよな……? 本当に競技として成り立つのか?」
「そこは戦況の読み次第だな。全員が身動きが取れないと読むのであれば、遠距離攻撃に長けた選手が有利になる。それを読んで身軽な装備で挑む者もいるだろう。私のようにな」
「そういった点を考えれば、重すぎず軽すぎずの装備で身を包む必要があるわけか」
意外と考える事は多そうだな。
「障壁が解除されたら脱落と考えたら、重すぎて身動きが取れないと一方的に攻撃を受け続ける事になる。かと言って軽過ぎると今度は流れ弾が当たって脱落なんて事にもなりかねない。ミーシャ、お前はどれにするんだ?」
オリヴィエがたずねると、ミーシャは一番大きいサイズを指さす。
「これ」
「こんなもの、持ち運べるのか? ……開き直って待ち伏せに徹するというのもありか」
「とりあえず目的地までは俺も運ぶのを手伝おう」
俺は転送魔法の魔法陣の上まで魔力バッテリーを運んだ。




