どこに陣取るか
「選手が近寄って来ないであろう俺の位置を拠点にするわけか。悪くない考えだが……そうなると攻撃を仕掛けられる範囲が限られるんじゃないのか?」
安全に休憩出来る拠点を作ると言うのは理に適った作戦だが、そうなると活動範囲は拠点を中心とした一定距離のみという事になる。その範囲外の選手には攻撃を仕掛けられないという事だ。それでもカバー出来る範囲が広ければ問題は無いが。
「それは拠点の設置場所次第だな。敵を発見するのも急襲を仕掛けるのも高い位置にいた方がやりやすい。つまり山の上で、かつ背の高い木が生えている場所に拠点を置くのが望ましい」
「そういう立地は他の審査官達も欲しがるんじゃないのか?」
「別に合流してはならんというルールもあるまい。そんなルールがあればそもそも私達の作戦は根本的に成立せん事になる」
「しかし、あまりにも一か所に集まり過ぎると安全圏が増えてしまうぞ?」
お互いに攻撃範囲から離れ合ってしまえば、膠着状態に陥りやすい。迂闊に近寄ればそのまま迎撃されて終わりって事になりかねないから状況が煮詰まってくると選手からは動かずに生存狙いをされる恐れがある。
「まあ、そこは他の審査官達との交渉次第だろう。私達を審査官側の花形に置いたからには、まさか端っこに追いやるというわけにもいかないだろうからな」
そう言いながらオリヴィエは俺達が戦う国立自然公園の地図を見せ、ある部分を指さす。色分けで区分された地図はそれぞれのグループの区画を表しており、俺達が戦う区画の中央辺りの山……もしくは丘のような場所を指さしていた。
「ここで俺達が陣取るわけか。譲ってくれるかね?」
「譲ってもらわねば困る。そもそも私達ジョーカーの戦いは観客も見たいだろうし、場所を譲ってもらえる公算は高いハズだぞ」
まあ、それもそうか。




