誰が特別な点になるか
「ようやく移動か」
「移動の前に、各グループの審査官同士で集まってください。道具の貸し出しを行います」
そう言いながら係員はよくわからない機材を大量に持ち込んできた。
「武器と……なんだこれは?」
「障壁発生装置を作動させるための魔力源だな。これが障壁の容量というか、強度の目安になる」
俺の疑問に、オリヴィエが答える。
「大きいものほど容量も大きいって認識で合ってるよな? 随分と大きさに違いがあるんだな」
全体的に見て大きい物のようだ。片手で持てる鞄くらいのサイズのものもあれば、背中で担ぐような、樽のように大きなサイズのものもあった。……まあ、機械を動かすためのバッテリーのようなものと考えれば、巨大化するのもやむなしというものだろう。
「道具に関しましては皆様でご自由にお使い下さい! また、転送魔法である程度任意の場所まで直接フィールドにまで転送いたしますので、得点を決め次第座標をお教えください」
「得点? ……ああ、誰が百点で誰をゼロ点にするかって話か」
それぞれのグループのアルファベットが記載されたパネルを持った係員に、審査官達が集まって話し合いを始める。
「特別な点に関しては、こっちもそれ相応の人間を出すしかないんじゃないのか」
そう言いながら審査官達の数人が俺とオリヴィエに視線を合わせる。
「俺達ですか?」
「選手達にしても観客にしても、一番知名度あるのはお前ら二人だからな。一番目立つポジションに置くのが筋ってもんだろう」
「それは構いませんが……どっちがどっちの点を担当した方が良いとかあるんですかね?」
「それはわからないが、百点の方は積極的に狙われるだろうし、逆にゼロ点の方は逃げられるだろうな」
まあ、それはそうだろうな。倒した際のメリットの大きさがそのまま戦うか逃げるかの判断基準になるわけだ。
「どうする? 俺はどっちでも構わないが……」
「私も同感だな。だが、百点の方はいちいち選手を探す手間は省けるな。向こうの方から集まってくれるハズだ」
「なら、お前の方が百点になるか? 俺はゼロ点の方で良い。障壁のエネルギーも、一番大きい物を使うからな」
「狙われないのに防御を固めるのか?」
「ああ。防御が薄いと真っ先に狙われる可能性があるからな。手間がかかる上にメリットも無いならさらに狙われにくくなるだろう」
厄介な敵でも余裕があるうちなら面倒な事をされる前にさっさと倒してしまおうと考える選手がいてもおかしくないからな。倒すのも面倒ならその面倒に見合った見返りも無いんじゃ余計に避けられるハズだ。さらに自由に動き回れるだろう。




