顔と名前が一致しない
「あの名前が早期に脱落してくれればあいつらへの手助けになるというのは事実だが……顔と名前は一致しているのか?」
「……知り合いの名前しかわからんな」
確かにオリヴィエの指摘通りだな。顔と名前が一致してなきゃ狙いようがない。
「そんな事だろうと思ったよ。一応、それなりの人数ならば把握しているから顔さえわかれば教える事も出来るが……その距離はだいたい相手の射程圏だな」
「その距離だとこっちの攻撃手段が無いな。もっと近くに寄るまで身を潜めるか、こっちから近寄るかだな」
「双眼鏡もあるからより遠くからでも識別は出来るぞ。ただ、光の反射で場所を特定される恐れもあるが……一応、ハニカム構造の双眼鏡もあるが……あのレベルの魔術師を相手にどこまで有効かはわからんな」
ちょっとした光の反射でこっちの位置を特定してくる危険性があるわけか。
「スコープの反射で位置を特定するって、それはもう魔術師と関係ない気がしてくるが……」
「直接的には関係無いかもな。ただ、光の反射を認識した時点でその方向に索敵魔法を張ってくる事は容易に想像がつく。問題はその範囲……距離の方だ。私の場合は半径50メートルだが、これより広い範囲を索敵出来る魔術師はそうはいない。ただしこれはあくまでも球状やドーム状に展開する場合に限りだ。円錐状等の形状で索敵範囲を広げられた場合はこの限りではない」
「円錐状……望遠鏡で見える範囲ならそれこそ望遠鏡レベルで索敵が出来たりするって事か?」
「まあ、数百メートル離れた敵を攻撃出来る魔術師というのもそれなりの数はいるからな。因みに、それでも千メートルからは難易度が雲泥の差になるらしく、それ以上の距離で攻撃を命中させる事が出来るのは国内でも十人しかいない」
国内で十人……希少は希少だが、それでも全くいないって程でもないわけか。
「大会に参加していてもなんら不思議ではなさそうな人数だな」
注意するに越したことはないわけか。




