専門知識
「教科書丸暗記か……確かにそれくらいやらないと生徒代表挨拶に出る程の点を出すのは難しいかもな……」
「そういう意味じゃ、今回の試験はあいつ向きではあるかもな。それでも解いた事の無い問題を出されたらあっけなく敗退しそうでもあるが……」
まあ、そこはどうしても運の絡む部分だから仕方がないな。
「それは誰であってもそうなんじゃないのか?」
「それはそうだが……程度ってものがあるだろ? 例えば……橋のミニチュアを二種類出されて、それぞれに重りを乗せたらどっちが先に崩れるかだとかの問題とか……まあ、そういう力学的な問題だったら解きそうな気もするが」
「なるほどな……建築関係の問題なら専門知識が必要になるから、学生レベルの知識量では話にならないだろうな。……が、その専門知識があれば解けそうな問題ではありそうだ」
「そりゃあ、設計図や建築素材から強度を計算しろとか言われたらどうしようもないかもしれないが……単純にこの構造は負荷に強いとかの知識さえあれば解けるレベルなら学生でも解けるだろうな」
素材と設計図で強度を計算するなんて、それこそ本職の人間でもなければ解けないだろうから問題として不適切にも程があるがな。……それでも二択問題ならアリだったりするのか?
「解いた事のない問題でも、程度によっては答えを予測出来る場合もあるわけか。例の問題で当てはめるなら……無理だろうな」
「そうなのか?」
「ああ。これが錬金術か……せめて魔法工学に関する問題ならあり得たが……魔法生物だと分野が違い過ぎる」
「そうか。……そもそもだが、どんな問題だったか覚えてすらいないがな俺の場合」
映像として見てはいたが、正直どんな問題だったか理解すら出来ていなかったから記憶からも消えてしまっているのが実情だ。
「魔法生物の写真から学名を当てる問題だ。私もAとBでしか覚えてないぞ。ミーシャ、お前なら覚えてたりしないか?」
「微生物は専門外だからわからないね。ただ、Bの方は確か微生物じゃなくてもっと別の原始的な生物の名前だったと思うから、そっち方面で答えはわかる人はいたかもね」




