全問正解出来るとしたら……
「……まあ、学生レベルは軽く超えていないと全問正解は難しいだろうな」
「それも多分合ってるだろうくらいの自信での解答ではないな。確実に正解しているという確信を持っているか……もしくは、優勝候補同士の話し合いを聞いていたかのどちらかだろう」
確かに会話を聞いていたなら、意識する事は可能だな。上位勢で話を合わせるにしてもそれ相応の時間は必要になるだろうから、事前に話し合って、どこか適切なタイミングで罠を仕掛けたのだろう。
「つまりその話を聞いていれば、どこかで罠を仕掛けて来る事は認識出来るわけだな。問題があるとすれば人混みの中の会話の中からその会話を聞き出す事だ。向こうも会話が駄々洩れじゃ意味が無いのは理解しているだろうから誰にも聞かれないように意識するだろうが……状況が状況と考えれば多少は盗み聞きされるのは織り込み済みか」
「数人に盗み聞きされる程度なら問題は無いだろうな。これを聞いた選手だって自分が勝ち上がる事を考えれば、余程のバカでもない限りは他人には教えないハズだ」
「まあ、教えたとしても自分とかなり近しい人間だけだろうな」
せっかく盗み聞きした内容を……仮にそれが意図的なものではなく偶然だったとしても……それをわざわざ皆に伝える必要は無いわけだからな。
「これなら学生でも全問正解を狙えるか……」
「ぶっちゃけそこまでするくらいなら実力で全問正解した方が楽な気もするがな」
「勿論その可能性もある。学生といっても本当のトップ層なら学者顔負けと言っても良い程の頭の良さだからな。それこそ貴様の妹のカルラならば、問題を解いた事があれば記憶力だけで全問正解まで辿り着けるのではないか?」
「カルラか……確かにあいつの記憶力なら過去に解いた事のある問題なら全問正解してもおかしくないな。そもそも入試勉強に充てられる時間を考えたら、一瞬で教科書を丸暗記するくらいの事をやってないとどうやったって間に合わないハズだしな」
何せ新入生代表挨拶なんてやってのけた女だからな。……こんな事はオリヴィエの知る由も無い事だが……あいつの勉強時間なんて、この世界で生活している人間と比べたらほんの一瞬と言っても過言では無いからな。どんなに頭が良いと言ったって、歴史を正しく認識するなんて不可能だ。そういう意味では歴史のテストで良い点を取るなんて事は、仮に教科書の持ち込みが特別に許可されたとしても不可能に等しいわけだ。……一瞬で教科書の中身を丸暗記するような記憶力でもない限りはな。




