全問正解した可能性が高い
「いや、合わせると言うが誰かが正解を出さないといけないんだぞ? そんな知り合いがあいつにいるのか?」
「いや、いるのかって……そんなの俺が知ってるわけないだろ……」
オリヴィエはフィリパがあの試験を突破した事がどうにも信じられないという様子だった。
「合格してるという事は他の合格者と答えを揃えたという事だな……誰だ……? まさか、部長と……? だが面識あるのかあの二人……」
オリヴィエは張り出された紙に記載されている名前をじっと眺めながら考え込むように立ち尽くしていた。
「自力で解いたって線は無いのか?」
「ん? 無いな。あいつにそこまでの学力は無い。私でさ幾つか間違えているくらいだ」
俺からの質問にオリヴィエは即答する。まあ、学生レベルで解けるような問題だけでトップ層を絞り込めるとは運営の方も思っていないだろう。
「学生レベルを遥かに超える知識量が無いと突破出来ないわけだな」
「さらに言うと、優勝候補達は一度示し合わせたように間違ってる方に多数の選手を誘導したからな。それ以降の問題でフィリパの姿を見ていないから、それに惑わされずに答えた事になるぞ」
確かに一度他の選手をひっかけた事があったな。それに惑わされてないって事はそれだけ答えに確信があったって事だ。
「そんなに頭の良い選手に知り合いがいたって事か? 心当たりは……無さそうだな」
「ああ。無いな。そもそも状況的に考えて例の問題で正解しているとしか思えんからな。それを言えば部長達も同じなのだが……可能性があるとしたらそんなものじゃないか?」
まあ、結果論として合格しているんだから、そこから逆算していくとノーミスでクリアしたと考えるのが自然だな。敗者復活戦が発生した時点で俺達は知り合いの姿を確認するために映像に集中したわけだから……流石に全員見落としたって事は無いだろう。
「まあ、それはそれで誰かが全問正解したって事になるんだが……俺達に姿を見られずに合格してたって事は全問正解したって事だろうな。誰が答えを教えたのかは知らないが」
「一応言っておくと、私でも数問は間違えてるぞ」
「つまり最低でもお前より頭の良い奴って事だ。……上級生なら流石にいるだろ?」
「私程度で良いならな」
実際には、頭一つ抜けた知識量が必要になるだろうな。




