スケジュールの確認
「とりあえず、見るべきものは見終わったな。私達も昼食後移動になるぞ」
「ああ。競技の開始時刻は確か……」
「昼の二時だ」
俺は時計を見て時刻を確認する。時刻はまだ十一時にもなっていなかった。
「昼食にしては少し早いが……移動しながら食べるよりはマシか」
これは俺達審査官よりも、選手の方の話になってしまうが、競技の開始時刻が午後二時と言ってもその前にルール説明があるからな。さらに付け加えれば、ルール説明をした後に誰と徒党を組むかの談合の時間まであえて用意しているって話だ。それらから逆算すれば、午後一時には説明を終えておきたいだろうし、ルール説明を行うのは十二時過ぎ……昼食や移動はどう考えても十一時には済ませておきたいスケジュールにならざるを得ないわけだ。
「開始時刻は二時だ。そう急ぐ必要も無いだろう」
「俺達はな。だが、選手の方はそうも言ってられんぞ? 現地入りした後にルール説明だからな」
そう考えると、自由行動を制限したのは必須だったな。スケジュール的にカツカツとは言え、それでも三時間以上の空き時間が存在するわけだ。それだけあれば、協力者に出来る事は幾らでもあるだろう。
「まあ、それはそうだな。もっとも、私達だって現地の地形やらの情報は欲しいからな。やはり選手達と同じスケジュールで動く必要があるようだな」
そう言いながらオリヴィエはどこからともなくスケジュール表を取り出して確認していた。
「こっちも作戦を立てる時間は欲しいからな。実際に現地に足を運んで確認するってのは許されるのか? 選手と違って審査官ならある程度は融通してもらえるよな?」
「出来るとは思うが、どちらかと言えば選手達より一足先に現地入りして身を潜める時間が与えられるだけだと思うぞ」
……まあ、確かにそうだな。俺達審査官と選手が同じ条件で競技を開始する必要性は無いわけだからな。




