一つを滅ぼしたらもう一つ
「……まあ、大国一つを滅ぼしたらもう一つ滅ぼそうって話になるのは時間の問題だろうからな。先の先を考えて自分が最終的に勝利する事を考えれば、国を滅ぼす前に次の戦いに備える事になるだろうな。その結果、生き残るチャンスが生まれるわけだ」
「一つの国を倒すために団結しても、その国が亡べば、次は残った三つの国で潰し合いになるのは目に見えているわけだからな。その時に二対一になるのが事前にわかっていたなら、自動的に勝敗の予想がついてしまうからな……ならば最初から団結などせずに均衡を保った方が得だろう」
基本的に原理原則から考えて組織の目標は発展する事だからな。それは国であっても例外じゃない。最終的に発展する事……別の言い方をすれば、国が滅亡しない事を優先して行動する場合、後々に敵対する事が明らかにわかっている相手とは極力争わずに、理想を言えば他の国と潰し合ってくれた方が良いからな。
「四つあるうちの一つを滅ぼして、その後は残りの三つがいつまでも仲良く暮らしました……なんてオチにはならないだろうからな。十中八九残った三つでの潰し合いだ。違いがあるとしたらそれが遅いか早いかの違いだけだろう」
むしろ一つでも滅ぼしてしまうと、二度目のハードルは驚くほど下がるからな。何事も最初の一回目のハードルがとにかく高いわけだ。
「三つは仲が良いのに残り一つが輪を乱している……なんて可愛い関係では無いからな。それぞれがそれぞれに対して何かしら思うところはあるだろうし、滅ぼせるチャンスだと見れば、滅ぼしにかかる関係と言えるだろう。実際にどの国でも、長い歴史の中には滅びかかった危機に直面した事が一度や二度ならずあったからな」
そんな定期的に国家存亡の危機に瀕してた事があったのかよ。




