大国の均衡
「ああ。四大国の中で一つの国が一時的に優位に立つ事はあっても、それが長続きした事は無かった。他の三つより強い力を持つ事は出来ても、他の三つ全てを合わせた力より強い力は手に入らなかったようだな」
まあ、そこは一人勝ちを許さなかった他の国がそれだけやり手だったという事なのだろう。
「長い歴史で考えれば、大国なんてのが名前だけのものだなんて事は普通にありえるだろうに、名実ともに大国であり続けられているのは何気に凄い事だと言えるだろうな」
「まあな。どこの国も浮き沈みは激しいが……それでもちゃんと大国としてのメンツは保てているのは、それだけ地力があるという事なのだろうな」
「しかし、三つが手を組んで一つの国を侵略するくらいの事は長い歴史の中で一回くらいはあってもおかしくは無さそうだが……そういう事は無かったのか?」
自分の国をより栄えさせるためなら、自分と近しい力を持った国は減らしてしまった方が良いと考える事もあったハズだ。もっとも……同じ考えに至る国が最低でももう一つくらいは出て来る必要があるがな。そして、四大国以外にもそれに匹敵しうる国が台頭してきているという現状から見ても、四大国の均衡は割りと怪しいものになってきていそうだな。
「大国同士で争う事はしょっちゅうあったが……三つが手を組むなんて状況は歴史上無かったと記憶している。正確には、それに近しい提言は何度も行われたが、その度に話がまとまらなくなって破断……それどころか、矛先が変わって情勢が激変したなんて事は起こった事はある」
……まあ、襲われてる国は弱っているわけだからな。そんな状況になれば、次にやるべき事は他の国の弱体化だろうから、矛先が変わるという事もあるのだろう。ちゃんと滅ぼしてから次の話をしろよとも思うが……そこまで入れ込むと、国を滅ぼすまでは良くても、そこから残り二つからの不意打ちを警戒しなければいけなくなってしまうからそう上手く行かないのだろうな。やはり革命的な技術革新でも起きない限りは四大国が一強の時代に突入する事は無さそうだな。




