サプライズ出演
「なるほどな……開催期間の長さから出場を避ける場合もあるのか。……ちょっと待て。そういう手合いがいるのであれば、俺達みたいに審査官として呼ばれているんじゃないのか?」
「オファーそのものはかかったとは思うが……それで呼び出しに応じる程暇では無いのだろうな。それか、もっと上のステージに関わっている可能性もあるぞ」
オファーを断ったか、別のタイミングで登場するか……か。どちらもありえるな。
「……まあ、どうせ登場させるならもっと上のステージにしたいだろうな」
「我々の出番など、言ってしまえば前哨戦も良いところだからな。終盤になるにつれて盛り上げなくてはならんのに、初日以上のサプライズ出演が無いというのはあまり良い構成とは言い難いな」
「……今までもそういうサプライズ出演はあったのか?」
当たり前のようにサプライズ出演とか言い始めたが、今までにも似たような事が無いとそんな当たり前の事のように話題には出て来ないハズだぞ。
「方向性を問わないのであれば、何かしらはあるな。例えば、去年は一国のお姫様が登場したぞ」
「お姫様って……そんな人が出て来ていったい何をするんだ? まさか戦わせたりはしないよな?」
「何かしらの意図がある事もあるし、本当にただの客寄せとして呼ぶ場合もある。去年の事例に関しては、この国との関係だとか……そう言った政治的要素の意図が強かった出演だったな」
「……それ、本当にやって良い演出なのか? そういうしがらみはとりあえず忘れておくのが暗黙の了解って奴なんじゃないのか?」
「それはその通りだな。実際かなりの物議をかもした。もっとも……ギリギリのグレーゾーンって事で有耶無耶にされたがな」
その件と言い、チケット販売や転売の問題と言い、色々とやらかしてるわけだな。そりゃあ、大会の規模を縮小するような不満や意見が噴出するわけだな。
「道理で世間の目が厳しくなるわけだよ。大会の開催国が決まってるのにそんな真似をしてたら顰蹙を買うに決まっている」
「そこは大国としての立場や影響力というものがあるからな。周囲からの反対意見など聞く耳も持たずに好き勝手やってきていたが……同じ大国にまで批判されるようになるとあまり無茶は出来なくなったようだな」
まあ、どっかの国との友好をアピールするために大国との関係を悪化させるとか本末転倒な話だからな……そりゃあ自重するようにもなるか。




