学力面で突破出来るか
「ハッ、今年は出場を見送っておいて良かったな」
「まあ、そういう事になるな。そういえば、フィリパの方はどうなんだ? 彼女の姿も見えないが……突破出来てると思うか?」
「……絶望的だろうそれは。あいつの頭じゃ自力回答は無理だ」
オリヴィエが言うには、フィリパの学力じゃあの競技を突破するのは難しそうなようだ。
「しかし、会ってない時期もあるだろ。その間に勉強したとか……」
「ちょっとやそっと勉強したくらいで突破出来るなら、その前段階として学校での成績が跳ね上がってなければならないだろう。そんな話が無いという事は、そっち方面での成長は無いか……あったとしてもかなり希薄と言える」
確かにあの大会への傾向と対策は多岐にわたるハズだ。あらゆる分野への対策が求められるだろう。大会までの期日が決まっている以上は、その全てを完璧にこなす事は現実的ではない。何らかの取捨選択はやっている事だろう。
「学力面を見る試験が出る可能性は完全に捨てて、もっと別の分野に絞った訓練をしていた可能性もあるわけか。苦手を潰すか長所を伸ばすかだな」
「その二択なら長所を伸ばす方のが良いハズだ。弱点を無くそうにも、学生レベルでそれを実現するのは現実的じゃない。それよりも、長所を伸ばした方がまだ効率が良いだろう。その長所でも勝てるかどうかわからんのだからな」
確かに……長所の部分で勝てるかどうかもわからんのに、短所をどうにかしようとしていても、敵からしてみたら楽な話だろう。器用貧乏な選手が相手なら、自分はそれよりも総合力で上回る選手を相手にはほぼ勝ち目が無いのだからな。
「勝てると言う保証も無いのに、その頼りない分野を伸ばさずに、勝ち目の無い分野をちょっとやそっと改善したところで勝ちの目は限りなくゼロに等しいと言うわけだな」
全てに対策する事は出来ない以上、トレーニングに割り振れる時間は限りがあるわけだ。その配分を間違えたなら、敗退もやむなしか。




