自信の無い選択
「……随分と数が減って来たな……」
敗者復活戦が始まり、問題が出る度に脱落者が出て来る。
「ああ。皆、迷いながら回答しているな」
「そりゃあ、周囲の人間は誰も信用出来ないからな」
オリヴィエが指摘する通り、敗者復活戦が始まってからと言うもの、迷わずに答えに向かって移動する選手が目に見えて減ってしまった。まあ、それはそうだろう。形はどうあれ、自分が選んだ答えが間違っていたのだからな。周囲の人間に合わせるという戦略ももはやどこまで有効かは甚だ疑問だ。合わせようにも、参加者全員間違えていたのだからな。
「自分はこちらが正しいと考えて選んだにしても、何も考えずに周囲の人間に合わせて選んだのだとしても、どちらにしても間違いを選んでしまったという事実は変わらないからな」
「また間違えるかもしれない……と、そう考えたらそりゃあ自信も無くなるか」
あの時は運が良くてまだ挽回のしようはあるが、事ここに至れば、ワンミスで即退場という事になるだろう。
「そのせいで答えの偏りが緩やかになってしまった。トップ層がどれだけ他の選手に影響を及ぼしていたかがわかるな」
「不本意な影響だなそれは、つまりトップ層もどうにかして周囲の選手を出し抜くつもりだったハズだ。それがここまで上手く行くのか、どこまで想像していたかはわからないがな」
「想像はしていないと思うぞ? 漠然と何も考えずに自分に答えを合わせに来ている連中を一網打尽にしようとして、それが思いのほか上手く行っただけかもしれないからな」
まあ、想像以上に引っかかる選手が多かったのだろうな。それだけ何も考えずにこの競技に参加している奴が多いという事でもある。流石に大会の趣旨としてそんな手合いに勝たれたら大会の沽券にかかわる事になってしまうだろう。