人数を誤認した場合
「まあ、敗者復活戦とは言っても既定の人数を選出するための重要な試験と考えれば、観客に見せる必要は無いという話にはならないとは思うが……運営のスケジュール管理次第だな」
どのように最後の選出を行うかを観客に伝えないというのも後で問題に発展しそうだし、すぐに終わるようなものでも用意しているのだろう。
「流石に丁度良く五百人選べるとは思っていないだろうし、何とかなるか」
「それに、技術的な難易度は上がってしまうが、会場内の選手の人数を数える事だって不可能では無いしな」
「……まあ、俺達が出る競技では百人の選手と二十人の審査官の位置関係等をリアルタイムで把握するのだから、それを考えればそこまで難しくはない……のか？」
人数が増えた際にどれだけ難易度が上がるのか想像もつかないな。
「当たり前の話だが、人数が少なく精度を落とす程、難易度は下がる。明らかに五百人以上いる場合は計測せずに、それなりの人数になってきた辺りで計測を開始すれば労力は抑えられるだろう」
確かに、一定の人数がいるかいないかの二択で調べたいだけの話だからな。
「正解のゾーンの中にいる選手の人数が五百人を下回ったのを確認すれば良いだけの話ではあるからな。不可能ではないか。カードで人数を確認しているのだとしたら、一人の選手が複数人のカードを持ってしまっていたり、逆に紛失したりして数が合わなくなってしまう場合も考えられるが……」
「紛失したら紛失したと係員に伝えれば良いだけの話だ。まあ、紛失した事に気が付かない可能性もあるだろうが、それはもう紛失した選手の責任だろう」
「しかし、複数人分のカードを持っていたとしたら面倒な事になりかねないと思うぞ？ 何せ五百人未満で勝ち上がり確定の状態で人数を誤認して競技が続行されてしまう危険性があるのだからな」
もしも本当は五百人を下回っている状態であるにも関わらず、競技を続けてしまった場合、敗者復活戦を行うのはさらに前の問題で退場した選手達という事になってしまうからだ。その時に脱落した選手を完全に把握していないと、かなり面倒な事になってしまうだろう。
「正解した選手では無く、間違えて敗退してしまった選手を全員分把握しておく必要が出て来るな。そうでないとどさくさに紛れて敗者復活戦に参加しようとする不届き者が出来てもおかしくはない」
ありえない話ではないな。敗退が確定したと認識した時点で、そいつの顔なんて忘れてしまっている可能性はあるだろうからな。何食わぬ顔で敗者復活戦に参加されたら、気が付くのは正直かなり難しいだろうな。
