思った以上に減り過ぎた場合
「五百人を下回った場合か……まあ、普通に考えれば間違えた選手達が残って延長戦に入るのだと思うが……」
「五百人丁度になるまでか? 二回や三回程度で綺麗に収まるならそれで良いかもしれないが……極端な事を言えば、残り三人の中から一人が選ばれるって段階で何度も回答が被ったらどうなると思う?」
「……優劣が付かないわけだから、延々と続く事になるな」
「その続くってのが連続正解なら問題無い。事実上のサドンデスのような状態だからな。だが、もしこれで全員が不正解だったらどうだ? そこからさらに仕切り直しになるんだぞ? つまり、問題の解答に関わらず被ったら延長になるわけだ」
見栄えが悪いなんてものじゃないな。それこそ答えがわからないから相手の解答に合わせるなんて真似が出来てしまうのだから、観客は勿論のこと、係員からしてみても堪ったものじゃないだろう。
「正解し続けて延長戦なら仕方ないにしても、不正解が重なり続けて延長は……大会の趣旨とは大きく外れているように見えるな……」
オリヴィエは俺の言った事を想像しているのだろう。頭を掻きながら答えた。
「あまりにも不正解が続くと茶番を見せられてるような気分になるからな。何だったら、現状でさえも茶番に近い状態に陥ってしまっている。上位層同士で話し合いをする事が出来るのだからな」
「難問ならそういう斜に構えた事を考える事も出来るが、今のところは全問正解してもおかしくない程度のレベルの問題ばかりだぞ?」
「そりゃあ、今のところだろ? さっさと人数を絞りたいんだから徐々に問題のレベルは上がっていくハズだぞ」
いきなり最初から超が付くほどの難問は出して来ないだろう。それは会場の盛り上げ方として不適切という部分もあるが、もっと他の理由として予想以上に多くの脱落者が出てしまう恐れがあるからだ。運営の狙いはあくまでも試験突破者を五百人丁度にしたいという人数の絞り込み。延長戦は百人でやるよりも十人で、十人でやるよりも二人だけでやった方が色々とやりやすいだろうからな。難問は出すタイミングを間違えると、そういう現象が起きやすくなってしまうのだ。
「確かに簡単な問題ばかりではある程度からは減らなくなってしまうだろうな。しかしいきなり問題のレベルを引き上げても、今度は人数が減り過ぎて敗者復活戦になってしまう。この敗者復活戦の最初の参加人数を可能な限り減らす事を考えれば、問題の難易度は徐々に上げていく事になるだろうな」




