トラブル発生……?
「どうだ? 大会の様子は」
「開会式が終わって間もないが……すでに数百人程度が脱落しているようだな」
「そんなにか?」
開会式は参加者全員が会場に集められる。そんな状況下で行われる競技がどんなものかは正直想像もつかないが……まさか開幕早々三桁台の選手が脱落するとはな。
「ああ。この分なら私達の出番もそう遠くない……と、言いたいところだが、ここからはそう甘くも無いか」
オリヴィエはそう言いながら映像を静観する。映像には参加者と思われる大量の人間がすし詰め状態になりながらも一喜一憂している様が映し出されていた。
「……これ、いったい何をやっているんだ?」
「二択クイズだな。AとBにわかれて外した者達から脱落していくルールだ」
「二択クイズって……そんなので決めて良いのかよ……?」
まるでバラエティ番組だな……? 今後の人生の明暗が分かれるような大会でそんな雑な落とし方なんてして大丈夫なのか?
「落とされた者からしたら堪ったものじゃないだろうな。今日この日のために積み上げてきた努力があの一瞬で終わってしまったのだからな」
確かに……恐らく脱落したのであろう選手達の様子は尋常ではなかった。まあ、一年間の努力がゲーム感覚で踏みにじられたと思えば半狂乱にもなるか。
「しかし、二択クイズなんて他の人と合わせればそれだけで突破出来るんじゃないのか? 少なくともいきなり脱落なんて事は避けられそうなものだが……」
「そこは私にもよくわからんな。あれだけの人数が分かれるのだからかなりの難問が出たのだろうと思うが……」
「……なあ、さっきからクイズが進んでいないんだが……どうなってるんだ?」
さっきから映像に流れているのは一喜一憂している選手達の映像ばかりだ。黙って映像を眺めていても一向に次の問題が出される気配が無い。これは、目的意識を持って移動している選手がおらず、浮遊するように周囲を歩いていたり、或いは身動き一つせずに棒立ちしている選手達の姿から見て明らかだった。
「何かトラブルでも起きたか……?」
そう言いながらオリヴィエは幾つか並べられている映像装置の別の画面を確認し始める。
「……ここ、ここで何かトラブルが起きてないか?」
俺も幾つかの画面を見ると、一か所だけ選手では無く係員と思われる人達が集まっていると思われる映像が流れていた。これは他の映像からも確認が取れた。




