細かくは判断しない
「障壁が破壊された選手を狙うのも禁止だし、障壁が破壊された後も戦闘を続行するのも禁止か……まあ、それはそうだろうな」
「そもそも、障壁の破壊と言うのは感覚的にわかるものなのですか? もしもわかりにくいものなのだとしたら……」
「わかりやすいも何も、攻撃を防いでくれるかくれないかの二つに一つですので一目瞭然ですね。ただし、実際の戦闘の場では倒錯した状況といったものも往々にして起こりえる事実ですので、そこまで厳密には判断はしませんね」
まあ、そんな極限状態での判断を下せるのは現場にいる審査官くらいのものだろうからな。その審査官が高度な判断を正確に行えるかと問われると、微妙なところだろうな。
「明らかに悪質なものでない限りは細かくは判断しない感じか……」
「競技の基本ルールとして得点を得ようと行動しているわけなので、全員から集中攻撃を受ける可能性があるのは最初からわかってた事だろうな」
まあ、それこそ複数の攻撃を同時に受けたらどうなるんだ? とか、色々と疑問に思うところはいくらでもあるわけだ。
「ここまでで何かご質問等はございますでしょうか? 何も無い場合でしたら、実際にグループ分けを行った際の紙を張り出しておきますので、話し合うなり自由に時間をおつかいください。また、現在行われている大会の様子を知りたいという方は、映像装置を設置いたしますので、各自お楽しみくださいませ」
そう言いながら係員達は様々な道具を持ち込んできた。俺達審査官の出番が来るまでの間、他の審査官達と意見を交換し合うのも良し、大会の動向を見守る目的でも、ただひたすら大会の観戦をするのも良しといったところだろう。……そう言えば、地上に出る事は禁止されていたが、地上に出ない分には、地下にいる限りはどこに移動して出番が来るまで時間を潰してしまっても問題はないのか?




