100点の価値
「審査官の人数も二十人か……偶然ではなさそうだが……いや、それでも一人は0点なのだから単純に倒せば良いという話でもないか」
「そういう意味では、100点というのも積極的に狙ううま味は薄いだろうな。一人倒した後は最後まで生き残ればパスする可能性が高いのだからな」
まあ、それだけでは絶対とまでは断言出来ないが、それでもかなり高い確率で勝ち残れる計算になる。
「どうせパス出来るのだから最低限の点数さえ確保してしまえば良いと言うわけか」
そう、この競技のルールを冷静に分析していけば、100点なんてポイントの加算を狙う意味は殆ど無いに等しい事がわかる。最も重要なのは最後まで生き残る事。そして、その上でどれだけのボーナスを重ねられるかが勝ち上がりのキモとなるわけだ。
「ああ。100点の審査官は明らかに陽動だな。これを積極的に狙う奴は逆に他の連中から狙われる事になるだろう。そもそも100点を得られるのは最大でも一人しかいないわけだしな」
恐らく競技中、最も集中的に狙われる事になるだろうが、それだけに他の選手に倒される事も避けたいハズだ。つまり、100点の標的そっちのけで選手同士の潰し合いに発展する可能性も十分にあり得るわけだな。もっとも、これは審査官達の誘導次第とも言えるところだ。もしも陽動作戦の類が圧倒的に得意な奴がこのポジションになれば……立ち回りだけで乱戦を巻き起こす事すらも狙えるだろう。
「その上で最後まで生き残れればそれだけで200点確定か。確かにそうなったらどうやっても勝てないな。まあ、グループ内を一位で通過する事にどこまでのメリットがあるのかは知らないが……」
「競技内で扱われる得点なんて、その競技内でしか通用しないだろ流石に。これが後の競技にまで影響を及ぼすんじゃ色々と話が違って来る」
