情報の共有
「やはり、どこかで膠着状態に陥る事は避けられそうになさそうだな」
「そういえば、私達審査官や選手は競技中、残りの審査官や選手の人数を確認する事が出来るのですか?」
審査官の一人が係員に質問する。確かに途中経過を知る事が出来るかどうかはかなり重要になってくるな。
「皆様審査官に対してはリアルタイムで監視塔との情報を共有出来るように取り計らいます。また、選手に関しましてはある一定の条件を満たせばその都度放送でお伝えする手はずになっています。条件と言うのは大まかに一定時間の経過や選手や審査官が一定の人数以下になった場合になりますね」
なるほど、選手側から考えると、運営からの放送の内容次第でその後の作戦を立てたりする事が出来るのか。
「一応、選手側も最低限度の情報は得られるのか……」
「最終的には膠着状態に陥るかもな」
「後は、チーム同士で倒し合ってポイントを調整したりだな。効率的にポイントを集中させる事が出来れば、より上の順位を確保しやすくなるハズだ」
「上を目指す分にはその通りではあるがな……そんな上手く行くのか? いくら百位以内に入れるかどうかが大きな壁になるとは言っても、必要以上に順位は下げたくないだろ?」
「そこは事前の話し合いで決めるしかないんじゃないか? それに、そんなのは選手側が勝手に決める事であって、俺達審査官の知った事じゃないな」
他の審査官達が話し合っているように、選手達がどういう作戦を立てて来るかは考える必要があるにせよ、それがどういったトラブルを生み出すかに関しては俺達が考慮する必要は無いだろうな。
「あ、状況の報告を放送で行うと言う話でしたが、他のグループの状況も放送で伝えるんですか?」
……確かにかなり重要な部分だな。他のグループがどういう状況なのかを把握するのはかなり難しいハズだ。しかし、もしもそれを知る事が出来たなら、他のグループの得点状況と自分のグループの得点状況を比較して、自分の順位をおおよその範囲であるが予想する事も可能だろう。これも作戦立案に影響を及ぼすハズだ。
「それに関しましては何度も協議を重ねました結果、一定の間隔をあけて放送する事になりました。また、この情報に関しましては審査官の皆様には情報が共有される事になります」
つまり、他のグループではどういった試合運びになっているのかある程度把握しながら戦う事が出来るというわけか。




