審査官が破壊した場合
「……実際のところ、どれくらいいると思う? 捨て駒として扱われる選手は」
俺はオリヴィエに尋ねてみた。
「想像しにくいな。大会の性質上、最終的には全員が敵という形になるから他の選手を捨て駒のように切り捨てる者は多いだろうが……そこまで残っている選手だって馬鹿じゃない。捨て駒に終わらないように動こうとする……ハズだ」
「なるほどな」
確かにオリヴィエの言う通り、単なる捨て駒で終わるような素直な連中はすでにふるいにかけられているとも言えそうだな。
「選手が障壁を破壊したらポイントが入るって仕組みらしいが、俺達審査官が障壁を破壊したらどうなるんだ?」
「その場合ですと、障壁破壊による1点の加算がなされなくなります。ただし、一人が脱落しているという事実に変わりはないので、生存者には1点の加算は行われます」
「単に1点減るだけか。そういえば、審査官にも得点が設定されているという話だったが、審査官同士で戦って障壁を破壊した場合はどうなるんだ?」
「その場合では誰にも得点が入りませんね」
「だとすると、もし自分の障壁があと少しで破壊されそうになった時は、他の審査官に破壊してもらえば良いのか」
部屋の中にいる審査官達が、それぞれ戦術のアイディアを出し始める。
「破壊してもらうのは良いが、それで見つかる可能性もあるしな……最悪なのは各個撃破されて二人分の点を取られるって可能性だな」
「そうなると、審査官側もどういうスタンスで動くかで意見が分かれそうだな」
「向こうがチームで動く事が予測されるからには、こっちもチームで動く必要がありそうだな」
選手だけでなく、審査官の方にも単独での行動に重きを置く者がいてもおかしくは無いな。
「チームと言っても、何人で行動を共にするかでも結構話は違って来るよな? 全員が一か所に集まっているのを知られたら、一網打尽にされる可能性もあるぜ?」
審査官達は作戦を話し合う。そんな中で係員はコホンと咳払いを一つすると、説明の続きを告げた。




