様々なボーナス
「最後まで生き残ったら100点ってのは良いとして……他の選手を倒した時のポイントが1点ってのが割りに合わないんじゃないか? これなら皆戦闘を避けたがるぞ」
他の審査官達も俺達と同様の疑問を持っていた。正直な話、敵を倒すメリットと倒されるかもしれないと言うデメリットの釣り合いが取れているように思えない。
「皆様疑問に思われるでしょう。戦うよりも逃げる方が得だと。そこでここにさらに別の加点法が加わります。それは競技中に何人の選手がリタイアしたかによって生存ボーナスが加算されます。具体的には一人リタイアするたびに生存者は1点加算されます」
「一人倒せば1点、その状態で最後まで生き残れば1点ボーナスで合計102点になるって事か?」
「仮に五十人がリタイアすれば戦わなくても生き残るだけで150点になるぞ? 成立すんのかこの競技?」
係員からの説明を聞いても審査官達は懐疑的な反応を示していた。さっき話にもでていたが、リタイア数が増えれば増える程、最後まで生き残った際のボーナスが跳ね上がるから潜伏して生き残る方法を模索した方が効率が良いと言う話になってしまうわけだ。
「そこで皆様審査官の出番となります。皆様が競技中の選手を倒す事で激化する狙いがあります。さらなる激化を狙い、審査官を倒した場合にも得点を設けます。この点数は基本的に選手より高く設定する事になります」
「なおの事、戦闘を避けようとしちまうんじゃないのか……? 俺達が倒すんだから」
「それどころか、俺達審査官にまで得点が設定されるんじゃ、選手達は選手より審査官を集中的に狙うよな? 審査官の方が得点が高いんだから」
「あー……いや、そういう事か? これ、審査官達と選手達でのチーム戦になるように誘導しているのか」
審査官の一人が何かに気が付いたように独り言をつぶやく。
「チーム戦? ……選手達が合流しやすいように俺達ってエサを用意しているのか……」
「審査官が大量に残っているうちはチームを組んで戦いやすいハズだな。そうやって潰し合いをしてくれれば、生き残った奴はより多くのボーナスを得られるってわけだ」
「一人で逃げ続けて生き残りを目指す選手は……少なくなるか……チームを組めばたった一人の選手くらいは難なく倒せるだろう。そういう意味では、選手を倒した場合の1点加算という点の低さにも説明がつくな……」
確かに……点を低くして誰が倒しても大差ない状態を作れるわけか。そして徒党を組んでる連中と比較して単独で逃げ切りを狙っている選手は狙われやすくなるわけだから……その手の連中の数を絞れるわけだ。




