審査官からの質問
「お、全員揃ったようだな」
俺達が席に座った後も続々と人が来ては各々好きな場所に座る。それを繰り返し、しばらく人が来なくなったかと思うと、係員と思われる人が部屋に入って準備をし始めた。恐らく全員揃ってこれから説明会が始まるのだろう。
「皆様、大変お待たせいたしました。これより火霊祭本選第二競技の説明会を行います」
係員の人が話を始めると、部屋の中にいた全員が話を聞く事に集中する。
「ようやく始まったか……」
「まず、説明会を開始する前にお伝えしておく事がございますが、秘密保持のために皆様には外出を控えていただく事になります」
係員の最初のこの言葉に、審査官達は少しばかりざわつき始める。
「外出禁止だって……? 俺達の出番は午後からじゃなかったか?」
「まだ朝だぞ……? ずっと拘束されたままか?」
「それなら集合時刻をもっと遅くしても良かったんだじゃないか……?」
反応はそれぞれだが、確かにこれから何時間もこの地下空間から出られないと言うのは動揺する者も出てきそうだな。
「ご不満を持つ方もいらっしゃるかと存じますが、これも秘密保持のための事ですのでどうかご理解いただけますようお願いいたします」
「我々の出番は午後のハズだが……昼食はどうすれば良いんだ」
部屋の中にいた審査官の一人が係員に質問を投げかける。
「昼食に関しましてはこちらでお弁当をご用意いたしましたので、それをこの部屋で食べていただきます」
「この部屋で……?」
「まあ、わざわざ部屋を変える必要も無いか」
外出を控えてもらうと言っていたが、可能な限りはこの部屋から出る事すらも極力減らしたいようだな。
「出番が来るまでこの建物の中で待機するというのは良いんですが、最初の審査が長引く事もあり得ると考えると、我々はいつどうやって現場に向かうんですか?」
「その点に関しましてはもう一度転送魔法にて皆様を目的地へとお送りいたしますのでどうかご安心を」
確かに転送魔法なら時間も距離も大した問題では無いだろうな。
「外出禁止との事だが、この建物の中なら自由に行動しても良いのだろうか?」
「えー、大変恐縮なのですが、皆様の中にはもうお気付きになられている方もいらっしゃると思いますが、ここは地下となります。この地下の中でしたら自由にしていただいても結構ですが、地上一階には上らないでいただきます」
「……了解した」
現状俺達が自由に移動できるのは地下空間のみか。まあ、数時間程度なら何とかなりそうだな。




