説明会の部屋へ
「確かに……小さな村だと村人一人一人の役割分担は重要になってくるだろうな」
「小さな村だとそれらがより顕著に出て来るようだな。人生の大半を役割一筋で生活する事が出来るようなコミュニティだ」
狩人として生まれたら狩人として死ぬまで同じ仕事を続けるようなものか。
「まあ、田舎の人生なんてそんなものだろ」
「だからこそ、異様に優れた才能が生まれたりするわけだ。代々受け継いできたから才能が偏るのか、それともたまたま優れた才能を持った者が一生それを続ける事が理由とは限らないがな」
まあ、確かに才能ある奴が一生かけてその仕事を続けたのだとしたら、とてつもない存在にまで上り詰めていてもおかしくはないだろうな。
「……ここが説明会をする部屋か……」
喋りながら歩いていると、最終的に大きい部屋へとたどり着いた。ちょっとしたセミナーくらいなら余裕を持って出来そうなくらいの大きさだ。
「かなり広い部屋だな。こんなものが地下にあったとは……」
オリヴィエは部屋の広さよりも、それが地下にある事に驚いていた様子だった。
「とりあえずどこに座るか決めるか? 張り紙も無いし、好きな場所に座ってもよさそうだな」
入口には、これから説明会があるかのような張り紙は一切存在せず、当然席も決まっているわけではなさそうだ。
「前の方で構うまい」
そう言いながらオリヴィエは迷うことなく前の方の席へと移動する。
「全員揃うまでにまだ時間はかかりそうだな」
俺は周囲を見渡した。まだ人数も少なく、これから続々と人が集まってくるのだろうと容易に想像が付く。
「席は早い者勝ちだ。さっさと陣取ってしまえば良い」




