支援するメリット
「なんとか保護法って奴か。法律を作れるような階級の人間と会う機会が増えればそういうものを作ってもらえるかもな」
いわゆるロビー活動というやつだな。上手く行けば無尽蔵に金を稼げるビジネスだからな……そういう事にもなるか。
「ありえない話ではないな。実際のところ、うちもとやかくは言えない立場だしな」
「お前の家も学校に武器を送っているのか?」
「まあな。それだけではないぞ。将来有望そうな学生がいれば、積極的に引き入れるように活動する。優秀な魔術師は貴重だからな」
……まあ、ありえる話だな。
「優秀な奴は学生時代から目を付けられるわけか」
「ああ。学生時代に親密度を上げておけば、例えば鍛冶ギルドなら武器を渡す事が出来るわけだ」
「武器を鍛えて貰えるわけか」
「それもあるな。だが、他にもメリットはある。例えば、その学生が大会で優秀な成績を収めた場合……当然、使用していた道具にも注目が集まる」
「世界中で売れるってわけか」
まあ、当然の現象ではあるな。
「ああ。こちらから何も言わなくても勝手に周囲の人間が調べてくれるし、宣伝もしてくれる。広告費を払う必要も無くな」
「一発当たるとデカいわけか。学生個人を支援するのも頷けるな」
「どんなに金をかけたとしても、広告宣伝費に比べたら安く済むからな。それだけではないぞ? 学生時代からそこまで優秀なら、国の上層部だって放ってはおかない。そうなればあっという間に国の中枢へと繋がるパイプが完成するわけだ」
なるほど。そうやって繋がりを増やしていくわけか。
「国のお偉いさんを紹介してもらうって事か?」
「そんなもったいない事はしない。……まあ、それが問題無く出来ればベストなのだが……それでそれぞれと良好な関係を続ける事が出来るかと言う話だ。そんなリスクの高い事をせずとも、もっと安全な方法がある。その学生を祝うパーティーを開催して、そこで人脈を作れば良いだけの話だ」
「社交パーティーってやつか。主役本人のいないところで話を進めていくわけだ」
ずっと昔から続く常套手段だな。
「そこで思いがけない大物と繋がりを持てたら申し分ないだろうな。権力者や富豪達とだ。彼らと知り合い、商売を行う事が出来れば、もはや学生一人に支払う事になる支援の費用など雑費にもならん」
支援した費用とその後の利益を比較すれば、とてつもない倍率になるだろうな。……もっとも、それだけにその学生が実際に活躍するかどうかの確率はその分低いのだろうがな。




